2011 Fiscal Year Annual Research Report
グラム陰性細菌由来新規コレステロール酸化酵素の高度安定化機構の解明
Project/Area Number |
21780082
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
道久 則之 東洋大学, 生命科学部, 教授 (60302957)
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Keywords | コレステロール / コレステロールオキシダーゼ / 臨床検査 / Chromobacterium / グラム陰性細菌 |
Research Abstract |
本研究の目的は、熱、界面活性剤、有機溶媒に対してこれまで報告されたコレステロールオキシダーゼ(COX)の中で最も高い安定性を示すChromb acterium sp.DS-1株由来のCOXの高度安定化の機構を解明することである。これまでに、本酵素をコードする遺伝子をクローニングし、大腸菌による本酵素の高発現化に成功し、効率的な精製法も確立した。また、補酵素のFADが結合しているヒスチジン残基(Hisl07)を他のアミノ酸に置換したFAD非共有結合型COXを作製し、精製した変異体を用いて温度安定性について検討した。この結果、FAD非共有結合型COXの熱安定性が著しく低下することが示された。当該年度では、さらに、pH安定性についても検討した。野生型酵素とFAD非共有結合型COXを用いて、pH2からpH12までの範囲の各pHにおいて30℃で30分間保温した後の残存活性を調べた結果、pH2からpH3の範囲においてFAD非共有結合型COXの方の安定性が低下していた。至適温度を調べた結果、野生型酵素とFAD非共有結合型COXのいずれの場合も、至適温度は60℃から65℃であったが、30℃から5O℃の範囲においてFAD非共有結合型COXの活性が顕著に低下していた。至適pHを調べた結果、FAD非共有結合型C0XのpH3からpH6までの範囲における活性が、野生型酵素に比べて低下していた。さらに、有機溶媒や界面活性剤に対する安定性について調べた結果、FAD非共有結合型COXは、SDSなどの界面活性剤や酢酸エチルやブタノールなどの有機溶媒に対する安定性が野生型酵素よりも著しく低下していた。また、CDスペクトルにより、様々な温度におけるFAD非共有結合型COXの二次構造の変化を調べた結果、FAD非共有結合型COXは70℃以上で二次構造の変化が認められ、野生型酵素よりも安定性が低下していることが確認された。以上の結果から、FADが酵素に共有結合しているか否かが酵素の安定性に深く関与することが示唆された。この結果は、FAD結合型酵素の安定性に関わる重要な知見であると考えられる。
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