2010 Fiscal Year Annual Research Report
自家発光型リステリア菌を用いた宿主感染防御因子のRNAiスクリーニング探索
Project/Area Number |
21780088
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 彰 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教 (70419000)
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Keywords | 自然免疫 / DNAマイクロアレイ / RNAi / ショウジョウバエ / 細胞内寄生細菌 / レポーターアッセイ / 抗菌ペプチド / コロニー形成法 |
Research Abstract |
自然免疫は、感染の第一線で活躍する哺乳類から昆虫まで普遍的に保存された免疫系の一つである。当研究室で最初に同定されたペプチドグリカン認識タンパク質PGRP-LE(Peptidoglycan recognition protein-LE)は、自然免疫シグナル伝達経路の一つであるImd経路およびメラニン合成経路の活性化などにも関与する多機能性分子である。近年、このPGRP-LEが細胞内寄生細菌に対する認識分子として機能する可能性が示唆された。PGRP-LEを介した新規防御因子を同定するために、まずリステリア属菌の宿主細胞内での増殖をリアルタイムに検出することが可能なシステム構築を試みた。すなわち、ルシフェリンなどの基質を添加することなくルシフェラーゼ発現に必要な全ての因子群を含むluxABCDEオペロンが、リステリア菌のゲノムに相同組替えによって挿入された自家発光型リステリア菌の作製に成功した。もっとも活性が高いHelpプロモーター下流にルシフェラーゼオペロンが挿入された菌を用いて、感染実験を行い、ルシフェラーゼ活性を指標としたPGRP-LE依存的な菌増殖の条件検討を行った。 また遺伝子網羅的DNAマイクロアレイによりPGRP-LEおよびリステリア菌感染依存的に発現誘導される新規遺伝子Listericinを同定した。Listericinは121アミノ酸からなるグリシン豊富領域を有する分泌タンパク質である。過剰発現およびRNAi法による解析により、Listericinは、JAK-STAT経路およびPGRP-LEの両方によって協調的に発現制御されること、培養細胞株を用いた生化学的解析、コロニー形成法および異所発現系を用いた解析から、Listericinが培地中に分泌されること、グラム陰性菌に対して殺菌能を有する新規抗菌ペプチドであることを示した。
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Research Products
(6 results)