2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780095
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
水沼 正樹 Hiroshima University, 大学院・先端物質科学研究科, 助教 (10343295)
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Keywords | カルシウム / 寿命 / 老化 / 変異株 / S-アデノシルホモシステイン |
Research Abstract |
最近、Ca^<2+>シグナルは、細胞増殖と連動して老化・寿命やアポトーシスなど重要な生命現象に関与していることが示唆された。このことから、Ca^<2+>シグナルは環境適応、生存に至る広範な基本的生命現象に関わることが予想された。Ca^<2+>シグナルと老化・寿命の分子機構は未解明な部分が多い分野なので、まず、Ca^<2+>シグナルによる老化・寿命への影響を詳細に調べ、これに関わる因子を同定し、制御メカニズムを明らかにすることを目的とした。 Ca^<2+>シグナル(ホメオスタシス)の寿命への影響 (1) Ca^<2+>の野生株の寿命に対する影響 新生酵母細胞の分裂回数を計測することによって寿命を計測した。その結果、Ca^<2+>(最終濃度100mM)により酵母細胞の寿命が減少することが分かった。 (2) 細胞内Ca^<2+>濃度の寿命への影響 酵母には細胞内Ca^<2+>濃度調節に関わるCa^<2+>トランスポーターとして、Pmc1(液胞に局在するCa^<2+>-ATPase)とPmr1(小胞体に局在するCa^<2+>-ATPase)が知られているので、それぞれの遺伝子破壊株を作製し、寿命への影響を調べた。その結果、pmr1破壊株で有意に寿命の減少が確認された。 老化・寿命に関わる変異株のスクリーニング scz7変異は、S-アデノシルホモシステイン(AdoHcy)水解酵素の遣伝子SAH1における変異であった(以後sah1-1変異と呼ぶ)。酵母sah1-1変異株は寿命が野生株と比較して顕著に短く、またテロメア長の短縮化も観察された。sah1-1変異株は、許容温度(25~30度)において緩慢な増殖を示すが、37度では増殖停止する。そこで、sah1-1変異株を培地にスプレッドし、37度で培養し、生育できたつまりこの増殖停止を解除した変異株を取得する事にした。その結果、多数の変異株が取得され、現在相補性グループに分類中である。
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