2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780095
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
水沼 正樹 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 准教授 (10343295)
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Keywords | 酵母 / 老化 / 寿命 / カルシウム |
Research Abstract |
出芽酵母を用いて新規寿命制御の解明を目指した。特に本年度は、老化・寿命に関わる変異株のスクリーニングを実施した。S-アデノシルホモシステイン(AdoHcy)水解酵素をコードするSAH1遺伝子における変異をもつsah1-1(scz7)変異株は、野生株と比較して許容温度においても増殖遅延が観察され、寿命が短く、興味深いことにテロメア長の著しい短縮化も観察された。そこで、sah1-1変異株の増殖遅延を抑圧する変異株を取得することにより、寿命が延長した変異株が取得できると予想し、新規寿命制御因子の取得を試みた。スクリーニングの結果、約100株の抑圧変異株を取得した。変異の優劣判定の結果、その変異はいずれも優性変異であったため、四分子解析により相補性試験を行い、変異を分類したところ、1つの遺伝子座に集約された。変異をssg1と命名した。sah1-1変異株では、寿命およびテロメア長の顕著な短縮が観察されるが、ssg1変異によりこれらの表現型も抑圧できるのかどうか調べた。その結果、sah1-1 ssg1二重変異株は、野生株と同程度まで寿命が延長し、さらにテロメア長の短縮化も部分的ではあるが抑圧されていた。 次に、SSG1遺伝子のクローニングを行った。ssg1変異は、優性変異のため、sah1-1 ssg1二重変異株よりDNAライブラリーを作製し、このDNAライブラリーをsah1-1株に形質転換することによりsah1-1株の増殖遅延を抑圧したクローンを取得した。その結果、原因遺伝子の取得に成功した。さらに、変異点も同定した。現在、この遺伝子の寿命に対する機能を明らかにすることを目的に解析を進めている。
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