2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780095
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
水沼 正樹 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 准教授 (10343295)
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Keywords | 酵母 / 老化 / 寿命 / カルシウム |
Research Abstract |
出芽酵母のCa^<2+>シグナル伝達が関わる生理機能の解明を目指す。特に本研究では、Ca^<2+>シグナル(ホメオスタシス)による老化・寿命制御の解萌を行う。さらに、本寿命制御に関わる因子を同定し、制御メカニズムを明らかにする。 まず、Ca^<2+>の寿命に対する影響を調べた。酵母の寿命は、細胞が一生の間に何回出芽できるか計測することで調べた(複製的寿命)。その結果、Ca^<2+>の添加によって野生株の寿命が短くなることがわかった。また、Ca^<2+>感受性を示すΔzds1株では、細胞内のCa^<2+>濃度が高いこと、さらに寿命が短いことが明らかとなった。これらの結果より、細胞内外の高濃度のCa^<2+>は寿命を短縮することがわかった。さらに、細胞内Ca^<2+>ホメオスタシスの異常が報告されているCa^<2+>イオンポンプの変異株Δpmr1の解析から、この株でも同様に細胞内のCa^<2+>レベルが高く、寿命が短縮することが明らかとなった。さらに、Ca^<2+>/カルモジューリン依存性ホスファターゼであるカルシニューリンに注目し、解析を行った。その結果、カルシニューリン調節サブユニットCNB1の破壊株の寿命は短縮し、さらに、恒常的にカルシニューリンを活性化させた株でも寿命の短縮が観察された。以上の結果から、細胞内のCa^<2+>ホメオスタシヌの破綻が寿命の短縮を導くことを発見した。一方、興味深いことに、先述した寿命の短いΔzds1株においては、CNB1を同時に破壊すると寿命が野生株と同程度にまで回復した。以上の結果から、カルシニューリン活性の閾値が寿命制御に極めて重要であることが示唆された。 出芽酵母を用いて新規寿命制御因子と予想されるSSG1を同定した。次に、∬61遺伝子の原因遺伝子の取得に成功した。この遺伝子の活性化は寿命延長を導くことが分かった。さらに既知の寿命制御因子とのクロストークも明らかになった。現在精密な解析を行っている。
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