2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞形態形成と細胞増殖とを連携制御する細胞極性ネットワーク
Project/Area Number |
21780097
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
久米 一規 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教 (80452613)
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Keywords | 細胞形態形成 / 細胞増殖 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究は、ヒトの単細胞モデル生物・分裂酵母を用い、細胞形態形成に重要な細胞極性ネットワーク・MOR経路(Morphogenesis Orb6 Network)に焦点をあて、MOR経路による細胞極性制御の分子機構の解明(目的1)と、MOR経路の破綻(細胞極性異常)をモニターする新規チェックポイント機構の解明(目的2)を目的とし、以下の研究を行った。 (目的1)(1)MOR経路は、細胞質分裂の開始を制御するSIN経路の下流で機能する(分裂後の細胞極性の確立に重要)。本経路の全体像を明らかにするため、Nak1/GCK(本経路構成分子)と相互作用する新規分子のMOR経路における機能解析を行った。まず、当該遺伝子にGFPを連結し、細胞内局在を観察した結果、Nak1と同様、SPB(スピンドル極体)および細胞端・隔壁形成部位に局在した。次に、Yeast-2-hybrid systemを用いて、Nak1との結合部位(50アミノ酸)を同定した。また、当該遺伝子は、生育に必須であったため、PCR mutagenesisにより高温感受性を示す変異株を作製し、その表現型を調べた。その結果、本経路構成分子の変異体が示す表現型と同様、高温で球形の細胞極性異常を示した。さらに、本経路の下流分子・Orb6 kinase活性に当該遺伝子が重要であることをつきとめた。今後、本経路における詳細な機能を明らかにするために、解析を進めていく。 (目的2)MOR経路構成分子の変異体が示す、Wee1依存的G2期遅延機構の全体像を明らかにするために、これまでに構築した、本経路のすべての変異体と非必須キナーゼ破壊体(89株)との二重変異体について、本経路のそれぞれの単独変異体に比べ、生育を悪化させる遺伝子に注目し、その解析を行った。構築した二重変異体の表現型の詳細について調べた結果、単独変異体に比べ、G2期遅延を示す細胞が減少し、M期の細胞の割合が増加していた。つまり、当該遺伝子が、本経路の破綻時のWee1の活性化に関与することが示唆された。今後さらなる解析を進める。
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