2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780098
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
湯浅 恵造 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (70363132)
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Keywords | シグナル伝達 / cGMP / プロテインキナーゼ / 神経細胞 / 神経突起形成 |
Research Abstract |
神経細胞におけるcGMP/cGKシグナリングの未だ不明確な情報伝達系の解明を試み、以下の成果を得た。1.cGKIによるリン酸化部位(Ser^<93>)を変異したrhotekin S93A変異体ではcGKI活性化による解離が認められなかったのに対して、擬似リン酸化変異体であるS93D変異体ではcGMP有無にかかわらず弱い結合しか認められなかった。マウス神経芽腫細胞株Neuro2A細胞において、LPA刺激によって減少した神経突起を有する細胞数の割合が野生型rhotekinあるいはS93D変異体により増加傾向を示した。また、LPA添加によって減少した神経突起の長さがS93D変異体により有意に増加した。これらの結果より、rhoteknはRhoA/ROCKシグナルによる神経突起退縮を調節し、その調節にcGKIによるリン酸化が関与する可能性が考えられた。2.非選択的カチオンチャネルTRPC7はカルバコール刺激によってカルシウム流入や転写因子CREBの活性化を引き起こすが、cGKIによるリン酸化(15番目Thr)によってこれらが抑制された。cGKIとTRPC7は細胞膜で共局在し、共免疫沈降実験によりcGKIはcGMP結合ドメインを介して、TRPC7はN末端アンキリンリピートドメインを介して相互作用することが明らかとなった。これらの結果より、cGKIはTRPC7と特異的に相互作用することにより、一酸化窒素やナトリウム利尿ペプチドといった刺激に対して迅速かつ正確にTRPC7をリン酸化することにより、細胞内カルシウム濃度を制御していることが推測された。3.cGKIの候補基質としてアポトーシスに関わるdeath-assosiated protein kinase 2(DAPk2)を同定した。部位特異的変異導入実験により、cGKIはDAPk2の299番目Serと367番目Serを特異的にリン酸化することが明らかになった。また、擬似リン酸化変異体であるDAPk2 S299Dは、野生型DAPk2よりも高いアポトーシス誘導効果を示すことが明らかとなった。
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