2010 Fiscal Year Annual Research Report
カルビン回路の新規調節機構の解明と分子育種への応用
Project/Area Number |
21780101
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
田茂井 政宏 近畿大学, 農学部, 准教授 (70340768)
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Keywords | カルビン回路 / 調節 / セドヘプツロース-1,7-ビスホスファターゼ / CP12 |
Research Abstract |
フェレドキシン/チオレドキシン(Fd/Trx)系により制御を受ける4つのチオール酵素(GAPDH、FBPase、SBPase、PRK)は、光合成カルビン回路の明暗調節に重要とされてきたが、新たな制御系の存在も示唆されている。我々は高等植物のSBPaseが、Fd/Trx系以外の制御を受けていることを示唆するデータを得てきた。また、CP12はGAPDHおよびPRKと複合体を形成することによりこれらの活性調節を行っていることを明らかにしてきたが、ラン藻Synechococcus PCC7942ではCP12欠損株によりストレス感受性が高くなることを新たに見いだした。そこで、CP12のストレス防御に関わる機能を明らかにすると共に、種々の酸化還元状態でのCP12とSBPaseの相互作用の可否を検討することで、SBPase制御因子としての可能性を検証した。種々のシロイヌナズナ粗抽出液とリコンビナントCP12を種々の酸化還元条件下(1mM H_2O_2、DTT、NAD^+、NADPH)で混合し、Blue Native PAGEにより複合体状態の解析を行った結果、いずれの条件下においても、抗SBPase抗体および抗CP12と交差反応を示すタンパク質バンドに変化は認められなかった。一方、強光ストレス(300μmol/m^2/s)条件下におけるS.7942野生株およびCP12欠損株の光合成活性を比較した結果、ストレス処理後4時間目以降のCP12欠損株の光合成活性に著しい低下が認められた。さらに、ストレス条件下でのピリジンヌクレオチド量を比較した結果、強光ストレス3時間目のCP12欠損株では、有意にNADP^+が蓄積しており、CP12欠損により電子伝達系での電子の流れが阻害されていることが示唆された。現在、同ストレス条件下での両株の電子伝達活性を解析している。
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