2009 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞由来ロイシンアミノペプチダーゼの分泌を介した血圧調節機構の解明
Project/Area Number |
21780103
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
後藤 芳邦 The Institute of Physical and Chemical Research, 辻本細胞生化学研究室, 基礎科学特別研究員 (90455345)
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Keywords | アミノペプチダーゼ / マクロファージ / 血圧調節 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
当研究の目的は、小胞体に局在する降圧アミノペプチダーゼA-LAPの分泌の血圧調節への関与を分子レベルで明らかにすることであり、本研究の達成により新規血圧調節機構、高血圧発症機構の解明が期待できる。 今年度は、(1)A-LAP分泌誘導リガンドの同定、(2)アミノペプチダーゼ活性がNO合成に重要であること、(3)分泌機構の解明、(4)A-LAP活性修飾低分子化合物の選抜、を達成することができた。 具体的には(1)で、様々な細胞、様々な生体高分子を用いてA-LAPの分泌を惹起するリガンドを探索した。その結果、マクロファージにおいてインターフェロン(IFN)γとLPSの共処理がA-LAPを分泌させることを明らかにした。(2)では、分泌型A-LAPの血圧調節への関与を具体的に明らかにしようと試みた。当初、単純に細胞外に分泌されたA-LAPが血管作動性ペプチドの生成・分解を介して血圧を調節すると考えた。実際、IFNγとLPS刺激で培養上清中のA-LAP活性は著しく上昇したが、試験管レベルにおける上記ペプチド生成・分解への分泌型A-LAPの寄与は調べた限り極めて小さいといわざるを得なかった。そこで、視点を変更し、NOについて着目した。その結果、IFNγおよびLPSで活性化させたマクロファージのNO合成能はA-LAP阻害剤によって抑制された。今後、分泌型A-LAPがNO合成を促進する機構を明らかにする。(3)では、IFNγおよびLPS刺激によるマクロファージ細胞内のCa^<2+>濃度の上昇、それに伴うカルモジュリンの活性化によって、A-LAPがトランスゴルジ網を通って分泌されることを明らかにした。(4)において、組換え型A-LAPの活性を修飾するような低分子化合物を理研ケミカルバンク(5000種)から探索し、50種の賦活化剤、150種の阻害剤の候補を得ることができた。今後、特異性や作用機序、細胞毒性等を検討する。
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