2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780110
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
井上 菜穂子 Hamamatsu University School of Medicine, 分子イメージング先端研究センター, 特任助教 (00509515)
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Keywords | 薄層クロマトグラフィー / 質量分析 / 糖脂質 / リン脂質 / 分子種解析 / イメージング |
Research Abstract |
本研究の目的は、高感度解析を目的として、イオン化におけるバックグラウンドを統一し、再現性のある測定を行うため、TLCからPVDF膜へ脂質を転写し、(TLC-Blot)その転写膜を直接質量分析するTLC-Blot-MALDIの手法を確立することである。 当該年度は(1)標準試料のガングリオシド、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリンを用いて、PVDF膜上での検出限界を測定する、(2)MSn解析を用いて、それぞれの分子種特異的なイオンを検出することにより、サンプルに含有される複数の分子種の詳細な構造解析を試みる、(3)イメージング技術を導入することにより、プリムリン染色では一つのバンドとして検出される各々の脂質中に含まれる複数の分子種の詳細なRf値を検出し、それぞれの分子種のイメージング画像を構築することで分子種ディファレンシャル解析を行うことを目的として掲げた。 本年は実施計画通り、標準試料であるホスファチジルコリンおよびスフィンゴミエリンをTLCによって展開し、TLC-Blot-MALDIの手法を用いて検出限界を求め、実際にMsn解析を行い、構造を決定した。その後、ヒト試料から総脂質を抽出し、混合物の状態からTLCによって各脂質に分画し、PVDF膜へ転写ののち、TLC-Blot-MALDIで測定を行った。その結果、標品同様に、複数の分子種を検出することができた(原著論文1)。さらには5種類以上め分子種が存在すると報告されている糖脂質、セミノリピドを精巣より抽出し、TLC-Blot-MALDIの手法を用いてイメージングし、分子種解析も行った(原著論文2)。次年度に予定している広範囲のイメージングに向けて、まずは3cm×3cmのイメージングを試みたところ、再現性のあるイオン化条件を決定することができた。測定条件が質量分析計によって若干異なることが示唆されたことから、次年度は分析計ごとの条件決定も計画に盛り込みたいと考えている。 得られた実験結果については原著論文2報、日本質量分析学会および日本糖質学会にて発表した。
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Research Products
(5 results)