2009 Fiscal Year Annual Research Report
GABAのマスト細胞機能に及ぼす影響と抗アレルギー作用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
21780122
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
原 崇 Niigata University, 自然科学系, 准教授 (20323959)
|
Keywords | γ-アミノ酪酸 / GABA_B受容体 / マスト細胞 / 脱顆粒 / アレルギー |
Research Abstract |
GABA(γ-アミノ酪酸)は機能性食品成分として知名度が高いが、免疫機能へ及ぼす影響に関する検討例は少ない。本研究では、GABAがマスト細胞へ及ぼす影響を調べ、抗アレルギー作用を示すか否か検討した。細胞培養実験系において、GABAはラットマスト細胞様RBL-2H3細胞やヒト好塩基球様KU812F細胞、さらにラット腹腔マスト細胞(正常なマスト細胞)におけるIgEを介した脱顆粒を抑制した。この抑制には、GABA_B受容体を介した細胞内シグナル伝達の下流に位置するGαiやERKなどの情報伝達分子が関与することが明らかとなった。そこで、これらの細胞にGABAに対する受容体が発現しているか否か検討したところ、GABA_B受容体を構成する2つのサブユニット(GABA_BR1、GABA_BR2)の発現がタンパク質並びにmRNAレベルで確認された。これは、GABAがマスト細胞に影響を及ぼす分子的基盤を裏付ける結果といえる。GABA受容体は脳神経器官で発現していることが知られているが、現状では、末梢組織における発現は十分に検討されていない状況にある。上記の結果より、GABAはマスト細胞に発現するGABA_B受容体を介しで脱顆粒を抑制し、即時型アレルギー反応を予防する可能性がある。一方、マウス経口投与試験によりGABA(0.5~1mg/mouse/day)が血中IgEレベルを低下させることが確認された。血中IgEレベルを低下させることは、アレルギー疾患の予防・治療に大きな意味を持つ。この作用のメカニズムについて解明が待たれるが、マスト細胞の脱顆粒抑制と併せ、GABAは抗アレルギー作用を有する可能性が示された。
|