2010 Fiscal Year Annual Research Report
GABAのマスト細胞機能に及ぼす影響と抗アレルギー作用に関する基礎的研究
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21780122
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
原 崇 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20323959)
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Keywords | γ-アミノ酪酸 / GABA_B受容体 / マスト細胞 / 脱顆粒 / アレルギー |
Research Abstract |
H21年度の成果より、マスト細胞におけるGABA_B受容体を構成する2つのサブユニット(GABA_BR1、GABA_BR2)の発現が確認された。そこで、他の免疫担当細胞についてもGABA_B受容体の有無を調べた結果、マウス脾臓由来のT細胞画分並びにNK細胞画分においてGABA_BR1とGABA_BR2の発現が確認された。なお、リアルタイムRT-PCRの結果、マスト細胞、T細胞、NK細胞の画分におけるGABA_BR1とGABA_BR2の発現レベルは、脳組織と比較して何れも低いレベル(数%~数十%程度)であった。in vitro実験系において、GABA並びにGABA_B受容体作動薬であるBaclofen(両者共に数十~数百μM)はマウス脾細胞のサイトカイン産生に影響を及ぼし、抗原誘導性のIL-4産生を抑制する傾向が認められた。この結果は、GABAがGABA_B受容体を介してIgE産生を抑制する可能性を支持する。また、GABA並びにBaclofenは、YAC-1細胞に対するマウス脾細胞の細胞傷害活性を増強した。T細胞とNK細胞は機能的なGABA_B受容体を発現しているものと推察される。GABA並びにBaclofenのマウス経口投与試験(両者共に1mg/mouse/day)を2回実施した結果、OVA感作BALB/cマウスの血中IgEレベル亢進を有意に抑制することを再現性良く確認できた。同時に、血中のIgG1レベル低下とIgG2aレベル上昇がみられたことより、GABAおよびBaclofenはTh1偏向を誘導する可能性が伺える。なお、約60日間の飼育期間を通じ、体重における変化は認められなかった。摂取したGABAがT細胞などの免疫担当細胞へ直接作用するか否か検証が必要だが、GABAはGABA_B受容体を介して免疫機能へ影響を及ぼし、Th1/Th2バランスの改善による抗アレルギー作用へ繋がる可能性が示された。
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Research Products
(1 results)