2010 Fiscal Year Annual Research Report
多成分多相系でのガラス転移特性の解明と食品のガラス化予測モデルの構築
Project/Area Number |
21780126
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川井 清司 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 講師 (00454140)
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Keywords | ガラス転移 / ガラス転移温度 / 乾燥食品 |
Research Abstract |
近年、多くの乾燥食品が非晶質状態にあり、水分含量や温度の変化によってガラス転移すること、ガラス転移により加工性や保存性など様々な性質が変化することなどが明らかとなり、食品のガラス転移温度を理解することの重要性が認識されるようになった。本研究は、成分や構造が複雑な乾燥食品のガラス転移に関する理解を深めると共に、得られた知見からガラス転移温度の予測モデルを構築することを目的としている。前年度(一年目)では、多糖類-水二成分系におけるガラス転移温度の変化を示差走査熱量計によって調べ、その主要因子(水分含量、平均分子量、結晶化度)による影響を明らかにした。本年度(二年目)では、更に複雑な系として多糖類(デキストリンなど)と少糖類(グルコースなど)との混合系におけるガラス転移温度について系統的に調べた。多糖類-水二成分系と同様、多糖類-少糖類系のガラス転移温度は、可塑剤として振舞う少糖類の増加と共に緩やかに低下した。しかし、多糖類と少糖類との混合比が7:3を超えると、ガラス転移温度は急激に低下すると共に、ガラス転移温度幅の増加が見られた。 これは、少糖類の増加により少糖類と多糖類とが相互作用した領域と、少糖類が多糖類から独立して存在する領域とに分離し、それぞれの領域が連続的にガラス転移したためと考えられる。この結果は、ガラス転移温度の加成性を前提とした従来の予測モデルとは異なる挙動であり、非晶質混合系における動的不均一性を示す結果といえる。最終年度では解釈が困難とされている実在する乾燥食品のガラス転移挙動を調べ、これまでに得られた結果を踏まえた考察を展開する。
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[Presentation] イヌリンのガラス転移温度の予測に関する研究2010
Author(s)
川井清司, 深見健, Pariya Thanatuksorn, Chotika Viriyarattanasak, 梶原一人
Organizer
日本食品工学会第11回(2010年度)年次大会
Place of Presentation
東京海洋大学品川キャンパス
Year and Date
20100804-20100805
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