2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780128
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
島村 智子 高知大学, 教育研究部総合科学系, 准教授 (50350179)
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Keywords | 食品機能 / ピロリ菌 / 農産物 / ニラ / 食品 / 抗菌活性 |
Research Abstract |
本研究は,ニラ抽出物の示すピロリ菌増殖抑制効果に関与する物質の特定,および抑制効果の発現メカニズムの系統的な解明を行い,ピロリ菌の除菌治療と予防を補助し得る食品の開発,ならびに新薬剤素材の提案を目的とするものである.昨年度までの研究により,ニラ抽出物が,本研究において使用した分離元の疾患、地域、遺伝子型、性別、抗生物質耐性の異なるピロリ菌株(51株)全てに対して増殖抑制効果を示すこと,ならびにその効果に殺菌作用の関与があることが明らかとなり,臨床の場で問題となっている抗生物質耐性ピロリ菌の除菌に対して,ニラ抽出物の使用が有効であることが示唆された.今年度は,この結果を受けて「ニラ水抽出物中に含まれるピロリ菌増殖抑制関与成分の解明」を主テーマとし,研究を進めた. ニラ水抽出物中の揮発性成分をTenax TAカラムで捕集し,ピロリ菌増殖抑制効果の評価,および成分分析を行ったところ,ピロリ菌の増殖抑制効果が認められ,多くの含硫化合物を有することが明らかとなった.ネギ属野菜の含硫化合物は酵素反応により生成されることが知られている.そこで,煮沸により酵素を失活させたニラ水抽出液に,別途限外ろ過を経て調製した酵素含有ニラ水抽出液を加えたところ,ピロリ菌増殖抑制効果の発現が認められた.このことから,ニラ水抽出液のピロリ菌増殖抑制効果には,酵素反応が重要な役割を果たしていることが判明した.さらに各種クロマトグラフィーによる関与成分の精製を行ったところ,ピロリ菌増殖抑制効果を示す物質の前駆体はメチインであることが判明した. 今後は,個々のピロリ菌増殖抑制効果関与成分の特定を行うと共に,ピロリ菌増殖抑制の詳細なメカニズムの解明に取り組む予定である.
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Research Products
(1 results)