2009 Fiscal Year Annual Research Report
環状糖包接香気成分の機能発現挙動とそのメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
21780129
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
石川 洋哉 Fukuoka Women's University, 人間環境学部, 准教授 (00325490)
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Keywords | 環状四糖 / シクロデキストリン / 抗酸化活性 / 分子包接 / 香気成分 |
Research Abstract |
本研究は、新規化合物である環状四糖・五糖を含む種々の環状糖類を用いた機能性香気成分の安定且つ効率的なデリバリーシステムの構築を目的とする。特に今回の研究課題では、環状糖類により包接された香気成分の機能特性について詳細に検討した。本年度は、新規化合物である環状五糖Isocyclo-maltopentaose(ICG5)と4種シクロデキストリン(CD)類による低分子化合物の包接を試み、各包接化合物の抗酸化特性を検討した。包接対象として、トロロックス(標準物質)の他、オイゲノール、バニリン、バニリン酸、プロトカテキュ酸の構造類縁4種化合物を用いた。抗酸化活性の評価は、Oxygen Radical Absorbance Capacity (ORAC)法を用いた。まず、環状糖そのものの抗酸化力を評価した結果、いずれも抗酸化力を有さないことが確認された。続いて、包接後の各化合物の抗酸化活性を確認した結果、いずれもICG5とα-CDを用いた場合に高い活性値を示し、環状糖の空洞径が大きくなるほど活性の低下(抑制)傾向が認められた。この結果は、環状糖の空洞が大きくなると活性発現部位をブロックする形となり、抗酸化活性を低下させること、すなわち各化合物の分子サイズ・形状に応じた環状糖を使用する必要性があることを強く示唆するものであった。さらに、ICG5を用いた場合には、化合物の抗酸化活性を増大させる効果も示唆された。この点については、今後そのメカニズムを含めて詳細に検討する必要があると考えられた。以上本年度の研究では、香気成分の抗酸化特性に及ぼす環状糖の影響を明らかにするとともに、ICG5が今後期待される有効な包接剤であることを示した。
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