2009 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質栄養状態の悪化による肝臓インスリン活性増強機構の解明とその生理的意義
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21780134
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
鈴木 由香 Nippon Medical School, 老人病研究所, 助教 (70516070)
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Keywords | タンパク質栄養 / インスリン / インスリン受容体基質 |
Research Abstract |
成長期の動物は、食餌として摂取するタンパク質量が不足すると、タンパク質代謝が低下して成長遅滞を引き起こすことが知られている。しかし、この時に糖・脂質代謝がどのように制御されているかについては、ほとんど知られていない。これまでに我々は、一日の必要量に満たない低タンパク質食を給餌した成長期のラットの肝臓で、インスリン受容体基質(IRS)やラバマイシン標的タンパク質(mTOR)を介したインスリンシグナルが増強される結果、脂質合成が促進されて脂質が蓄積することを見出してきた。本研究は、タンパク質栄養状態の悪化によって増強される肝臓のIRSおよびmTORシグナルの生理的意義を明らかにするとともに、タンパク質栄養状態の悪化に応答したタンパク質・糖・脂質代謝の連携機構を明らかにすることを目的としている。本年度は、以下の2点について実験を行った。 1、低タンパク質給餌が、肝臓以外の代表的なインスリン標的組織である骨格筋と白色脂肪組織におけるインスリンシグナルに及ぼす影響を検討した。その結果、白色脂肪組織におけるインスリン受容体のチロシンリン酸化、IRS-1の量およびチロシンリン酸化が低タンパク質食給餌によって減少していた。これまでの結果を合わせて、「タンパク質栄養状態の悪化で余剰となったエネルギー源は、臓器特異的なインスリンシグナルの修飾を介して、白色脂肪組織ではなく、肝臓に脂質となって蓄積される」という機構が稼働しているとわかった。 2、タンパク質栄養状態の悪化による肝臓IRS量の増加の生理的意義を明らかにするために、肝臓のIRSをノックダウンした動物モデルの作製を試みる。そのために、まず、IRS-1およびIRS-2に対するshRNA発現アデノウィルスを作製した。現在、一次ウイルスを獲得している段階で、来年度は精製を行ったうえで実際に動物に接種し、shRNAの効果を検討する。
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Research Products
(2 results)