2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780136
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
米澤 裕子 (熊本 裕子) Kobe Gakuin University, 栄養学部, 研究員 (80388777)
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Keywords | 共役脂肪酸 / アポトーシス / DNAポリメラーゼ |
Research Abstract |
EPAは魚油に含まれる高度不飽和脂肪酸、エイコサペンタエン酸(EPA)をアルカリ異性化して合成した共役脂肪酸である。我々はこれまでに、cEPAにはDNA代謝系酵素であるDNAポリメラーゼ(Pol)やDNAトポイソメラーゼ(Tbpo)の阻害活性があること、また、培養細胞を用いた実験において癌細胞増殖抑制活性、細胞周期G1/S期停止作用、アポトーシス誘導作用があることを報告してきた。本研究では、更なる癌治療効果の向上を目的とし、cEPAと放射線の併用による細胞増殖抑制効果について、またその作用機序について調査した。 ヒト大腸癌細胞(HCT116 cells)を用い、コロニーアッセイによる細胞の増殖能評価実験を行った。共役EPAと放射線の併用のタイミングについて、(1)共役EPA投与に引き続き照射を施行(sequential) (2)共役EPA投与と照射を同時に施行(concurrent) (3)共役EPA投与と照射を交互に施行(altemating)の3条件で最も有効な照射条件を比較検討した。更に、照射の回数を増やす等、現在行われている併用療法の手順を参考に様々な条件で比較検討を行った。 また、放射線照射装置を使用し、それに伴うapoptosisをAnnexin V法で検出した。apoptosisは、コメットアッセイによる細胞単位のDNA損傷度(一本鎖切断および二本鎖切断)についても検討を行い、初期障害、修復動態、残存障害を考察した。更にreal-time PCRを用いて、RNAレベルでの細胞内Pol活性の放射線照射による影響を調査した。 ヒト大腸癌細胞(HCT116 cells)にcEPAを添加し放射線を照射することで、細胞増殖能が放射線無照射よりも有意な低下を示した。放射線照射によりPol δ、εのmRNAレベルが上昇したが、cEPA存在下で放射線照射をするとPolδ、εのmRNAレベルが低下した。以上の結果から、cEPAと放射線照射の併用は有用であると考えられた。また放射線照射によるDNAダメージ修復にPolδ、εが関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Enhancement of human cancer cell radiosensitivity by conjug ated eicosapentaenoic acid-a mammalian DNA polymerase inhibitor2010
Author(s)
Yonezawa, Y.K., Sasaki, R., Suzuki, Y, Matsui, Y., Hada, T., Uryu, K., Sugimura, K., Yoshida, H., Mizushina, Y.
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Journal Title
International Journal of Oncology 36
Pages: 577-584
Peer Reviewed
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