2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780136
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
米澤 裕子 (熊本 裕子) 神戸学院大学, 栄養学部, 研究員 (80388777)
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Keywords | エイコサペンタエン酸 / 共役EPA / 放射線 / ヒトがん細胞 / 抗がん活性 / 併用効果 / DNA合成酵素 / 酵素阻害剤 |
Research Abstract |
魚油に多く存在する高度不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)の共役型であるconjugated EPA (cEPA)に注目して、ヒト由来がん細胞に対するcEPAの化学療法と放射線療法と併用効果の詳細を解析している。今年度(H22年度)は、食品由来の栄養素であるビタミンKや非栄養素であるカテキンとEPAをはじめとする直鎖の長鎖脂肪酸を結合させた化合物(脂肪酸誘導体)を合成して、その抗がん作用について解析した。具体的な研究内容と成果は、次のとおりである。 (1)EPAとビタミンK3誘導体(Joglone)を結合させた化合物の準備 EPAにJugloneを結合させた化合物(アシル化ジュグロン)の有機化学合成に成功した。 (2)直鎖脂肪酸とカテキン・エピカテキンを結合させた化合物の準備 炭素数6~18の直鎖脂肪酸にカテキン(C)やエピカテキン(EC)を結合させたアシル化C、アシル化ECの有機化学合成に成功した。 (3)アシル化合物のDM合成酵素(DNAポリメラーゼ,pol)阻害活性 EPAおよびJugloneは、それぞれ哺乳類由来のpolを阻害するが、これらを結合させたアシル化ジュグロンは単体よりも強いpol阻害活性を示した。脂肪酸・カテキン・エピカテキンは、それぞれ単独ではpol阻害活性がほとんど見られないが、アシル化合物にすることでpol阻害活性が見られた。その活性は、脂肪酸鎖が長くなるほど強くなる傾向が見られ、アシル化ECよりもアシル化Cの方がより強いpol阻害活性を示した。 (4)アシル化合物のヒト大腸がん細胞(HCT116 cells)増殖抑制活性と放射線との併用効果 アシル化ジュグロンおよびアシル化C、アシル化ECは、ヒトがん細胞の増殖を抑制した。細胞周期をDNA合成準備期(G1期)およびDNA合成期(S期)で停止させて、アポトーシスを誘導した。また、放射線と併用することでHCT116 cellsの増殖抑制活性が増強された。
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Research Products
(2 results)