2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780137
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
横田 彩 Tokushima Bunri University, 香川薬学部, 助教 (30446075)
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Keywords | 腸管免疫 / ビタミンA / レチノイン酸 / 経口免疫寛容 / 制御性T細胞 / サイトカイン / 細胞接着因子 / ケモカイン |
Research Abstract |
ビタミンA代謝産物であるレチノイン酸は、リンパ球を小腸に配備する役割があり、誘導型制御性T細胞とTh17細胞の分化制御に関与している。ビタミンAの補給は、発展途上地域の栄養不良乳幼児が引き起こす感染症による持続性下痢症状を改善し、死亡率を低下させる。また、制御性T細胞はアレルギー性疾患や自己免疫性疾患の発症を抑制することが広く知られており、ビタミンAはリンパ球を正常に腸に配備し、T細胞の機能分化を制御することによって、これらの発症予防や改善に寄与している可能性がある。経口免疫寛容の成立には、腸管において抗原特異的な制御性T細胞が誘導されることと、再度同一抗原が導入された時、その局所に制御性T細胞が正しく移入して過剰な免疫反応を抑制する必要がある。そこで、本研究は誘導型制御性T細胞の機能成熟におけるビタミンA(レチノイン酸)の作用機序を個体レベルで解析するため、ビタミンA欠乏マウスにおける経口免疫寛容誘導能を検証した。抗原を経口投与したマウスに同一抗原を腹腔内投与し、腸間膜リンパ節を採取して増殖アッセイを行ったところ、ビタミンA欠乏マウスではT細胞増殖能やサイトカイン産生能が亢進しており、経口免疫寛容が破綻していた。一方、同様に抗原を経口投与したマウスに同一抗原を皮下(足踵、尾の付け根)投与し、膝下リンパ節と嵐径リンパ節を採取して増殖アッセイを行ったところ、ビタミンA欠乏マウスにおいても経口免疫寛容が成立しており、T細胞の機能発現におけるビタミンAの寄与は、組織によって異なることが示唆された。 ビタミンAは食品成分であるため、腸管環境のコントロールを比較的容易に行うことができる。そのため、得られた研究成果は腸免疫学的疾患の予防、治療に有用な機能性食品などの技術開発へと繋がり、産業実用化に大きく発展することが期待される。
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