2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780137
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
横田 彩 徳島文理大学, 香川薬学部, 助教 (30446075)
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Keywords | 腸管免疫 / ビタミンA / レチノイン酸 / 経口免疫寛容 / 制御性T細胞 / サイトカイン / 細胞接着因子 / ケモカイン |
Research Abstract |
ビタミンA代謝産物であるレチノイン酸は、リンパ球に小腸ホーミング能を賦与する生理的因子であり、誘導型制御性T細胞(iTreg)とTh17細胞の分化制御にも関与している。ビタミンAの補給は、発展途上地域の栄養不良乳幼児が引き起こす感染症による持続性下痢症状を改善し、死亡率を低下させる。また、Tregはアレルギー性疾患や自己免疫性疾患の発症を抑制することが知られている。従って、ビタミンAはリンパ球を正常に腸に配備し、T細胞の機能分化を制御することによって、これらの発症予防や改善に寄与している可能性がある。そこで本研究は、ビタミンAがT細胞の機能成熟に与える影響を個体レベルで検証するため、ビタミンA欠乏(VitA(-))マウスに抗原を経口投与し、小腸関連二次リンパ系組織や脾臓を採取して、CD4陽性T細胞の機能解析を行った。 1、VitA(-)のDO11.10xRAG2ノックアウトマウスのFoxp3^+iTreg誘導は、VitA(+)マウスと差異はなかった。 2、しかし、Th1、Th2およびTh17サイトカイン産生能はVitA(-)マウスの方が顕著に高かった。 3、VitA(-)のBALB/cマウスを用いて経口免疫寛容誘導能を検証したところ、CD4陽性T細胞のTh1、Th2およびTh17サイトカイン産生能が亢進しており、経口免疫寛容が破綻していた。 以上の結果より、ビタミンAはiTreg誘導への直接的効果は低いが、エフェクターT細胞への分化誘導制御には深く関わっており、VitA(-)では炎症誘導性T細胞への分化誘導が亢進していることが示唆された。 ビタミンAは食品成分であるため、腸管環境のコントロールを比較的容易に行うことができる。そのため、得られた研究成果は腸免疫学的疾患の予防、治療に有用な機能性食品などの技術開発へと繋がり、産業実用化に大きく発展することが期待される。
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Research Products
(5 results)