2009 Fiscal Year Annual Research Report
多価不飽和脂肪酸摂餌によるアルツハイマー病発症予防法開発に関する研究
Project/Area Number |
21780139
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
細野 崇 National Institute for Longevity Sciences,NCGG, アルツハイマー病研究部, 外来研究員 (80445741)
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Keywords | アルツハイマー病 / 多価不飽和脂肪酸 / アミロイドβ / アラキドン酸 / ドコサヘキサエン酸 |
Research Abstract |
アルツハイマー病には、アミロイドβ(Aβ)を主成分とする老人斑と、過剰にリン酸化されたタウタンパク質を主成分とする神経原線維変化という病理的特徴がある。Aβ、特に可溶性Aβオリゴマーは神経細胞の機能不全を誘導し、アルツハイマー病発症の原因物質の一つであると考えられている。本申請では、脳の構成脂質成分として高濃度に存在するが、加齢に伴って量が減少する多価不飽和脂肪酸に着目し、食餌による高不飽和脂肪酸摂取がアルツハイマー病発症を予防できるか、モデルマウスを用いたin vivoの実験で検証を行った。 アルツハイマー病モデルマウスであるTg2576に脂肪酸の構成比率を変えた餌を長期間与え、認知機能低下に対する予防効果の評価を行った。飼料は脂質中に4%のアラキドン酸(ARA)を含む飼料、4%のドコサヘキサエン酸(DHA)を含む飼料、ARAまたはDHAを含まない飼料の3つの群を用意した。3ヶ月齢のTg2576を購入し、9ヶ月齢までは通常飼料(CE-2)で飼育を行った後、3種類の餌に切り替えた。13ヶ月齢のTg2576マウスに対し、認知機能試験としてY字迷路試験、新奇物体認識試験、恐怖条件付け学習試験を行った。 いずれの試験においても、Tg2576マウスは野生型マウスと比べて認知機能の低下が認められた。これに対し、ARAを与えたTg2576マウスでは、コントロールのTg2576マウスに比べてY字迷路試験、新奇物体認識試験、恐怖条件付け学習試験結果の改善が認められた。また、DHAを与えたTg2576では、Y字迷路試験と恐怖条件付け学習試験において認知機能の改善が認められた。現在、高不飽和脂肪酸による認知機能の改善メカニズムの解析を行っている。
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Research Products
(3 results)