Research Abstract |
まず千葉演習林内に22カ所ある,天然林固定標準地プロットの既往調査データおよび林内現況をひととおり確認し,それらの中から本研究の目的にかなう箇所として,楢の木台8林班A小班の針葉樹天然林プロットを対象地とすることに決定した。 本対象地は第一回の毎木調査を1999年に,第二回を2003年に行っており,研究内容に照らして5の倍数年間隔の調査データが得られることが望ましいため,2009年12月に第三回の毎木調査を行った。測定項目は樹種,胸高直径,枯れの有無である。対象地の面積は0.259ha,調査対象木は479本で,出現種数は以下の12種(本数比%)であった:スギ(0.4),モミ(35.9),ツガ(41.3),コナラ(12.1),サカキ(4.6),ヒサカキ(1.7),クロバイ(0.6),ヤマザクラ(0.4),ホオノキ(0.2),アオハダ(1.9),イロハモミジ(0.6),ヤマウルシ(0.2)。全樹木の平均胸高直径は1999年時が14.8cm,2009年時が17.3cmであった。また1999年からの10年間で64本の樹木が枯死し,枯死率は13.4%であった。 各樹木の樹齢についてはIML社レジストグラフを用いて根元部のドリル陥入抵抗値を計測し,抵抗値の波形グラフから年輪数を推定する計画であったが,事前にプロット外の樹木を数本伐倒してみると,根元部は根張りで断面の形状が歪み,偏芯傾向が強かったため,樹皮から樹木中心へ向けてドリルを陥入しても,年輪の中心部を捉えることができず,樹齢を推定することが困難であることがわかった。そこでレジストグラフでは胸高部の陥入抵抗値を測定することとした。胸高部を測定することにより株立ちした樹木にも対応できる。この方法により推定されるのは「胸高到達以降の樹齢」となる。 現在までに,このような陥入抵抗値のデータをほぼすべての樹木について取り終えており,進捗状況はほぼ当初の計画どおりである。次年度は残りの樹木のデータ計測を進め,計画に従いデータの解析を行う予定である。
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