2010 Fiscal Year Annual Research Report
マツ材線虫病における病原線虫-宿主植物間の初期認識機構に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
21780147
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 祐子 京都大学, 農学研究科, 助教 (80452283)
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Keywords | 森林病害 / 線虫 / プロテオーム / 遺伝子発現 / 相互認識機構 |
Research Abstract |
伝染性森林病害マツ材線虫病は、病原体マツノザイセンチュウ(以下、センチュウ)の特定以降40年近く経つ現在もなお有効な防除法が確立されておらず、被害拡大を食い止められずにいる。本病の防除が困難な理由としては、そもそも本病の病原機構が完全に解明されていないために、対症療法を取らざるを得ないことが挙げられる。感染宿主における詳細な病徴進展過程についてはこれまでにも報告例が多いものの、感染成立の可否を決定する因子はいまだ仮説の域を出ない。 本病の病原機構の解明を目的とした本研究は、本病の感染成立の場に着目し(1)センチュウと(2)宿主植物の両者を研究対象として初期認識機構の全貌解明を目指すものである。 (1)センチュウの分泌タンパク質にプロテオーム解析手法を適用した結果から、宿主との相互作用に伴い、細胞壁分解酵素や活性酸素種除去に関わる分子の生成量が増加することを明らかにした。これは、センチュウ分泌タンパク質の網羅的同定を行った初めての事例である。 (2)宿主であるマツ属樹に関しては、病原力の異なる2系統の線虫を人工接種した感受性クロマツにおける発現遺伝子群の量的比較を行い(cDNAサブトラクション法)、強病原力系統の線虫感染時のみ、あるいは弱病原力系統の線虫感染時のみ宿主樹木において発現誘導される複数の遺伝子について部分塩基配列情報を得た。現在、リアルタイムPCRによる候補遺伝子発現の定量を進めており、センチュウ側の感染関与因子の検証を行うためのバイオアッセイ系確立に向けた基盤が固まりつつある。
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