2012 Fiscal Year Annual Research Report
ツキノワグマによるクマ棚形成を介した間接効果とハビタット創出
Project/Area Number |
21780154
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Research Institution | Nagano University |
Principal Investigator |
高橋 一秋 長野大学, 環境ツーリズム学部, 准教授 (10401184)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ツキノワグマ / 間接効果 / エコシステムエンジニア / 生物間相互作用 / 野生動植物 / クマ棚 / 林冠ギャップ / 結実 |
Research Abstract |
本研究は、クマ棚の形成に伴う林冠ギャップの創出が下層の林内植物の繁殖や更新に及ぼす影響(ツキノワグマと林内植物の間接効果研究)と、クマ棚の形成が小型動物のハビタット創出に与える効果(エコシステム・エンジニア研究)を分析することを目的とする。生態学的なクマ棚研究の新領域を開拓し、森林生態学の分野に新たな視点と分析軸を提供する。24年度は23年度に引き続き、本研究の基礎固めとなる「クマ棚の実態と形成要因」に関する「基礎研究」を長期モニタリング・プロット(20m×50m×18個)で実施し、7年間に創出された小規模林冠ギャップの面積と空間分布の特徴を明らかにした。「ツキノワグマと林内植物の間接効果研究」および「エコシステム・エンジニア研究」からなる「フロンティア研究」については、23年度までに開発した調査手法を用いて長期的なモニタリング調査を開始した。前者の研究では、小規模林冠ギャップの修復(閉鎖)の速度を評価するために、照度センサを小規模林冠ギャップがあるミズナラ個体の下の各階層(0.5m・2m・5m・樹冠下・樹冠中・樹冠上)に設置し、20分間に一度の計測の長期モニタリング調査を開始した。後者の研究では、自動センサーカメラを樹上に設置し、クマ棚を二次利用する哺乳類・鳥類の長期モニタリング調査を開始した。その結果、テン・ムササビ・リス・ヤマネ・ヒメネズミなどの哺乳類、カケス・アカゲラ・シジュウカラなど鳥類を撮影することができた。これらの動物がクマ棚を利用していることが明らかになったが、今後は利用目的を解明する必要がある。「ツキノワグマと林内植物の間接効果研究」と同様に、林業被害の一つである「クマ剥ぎ」によっても樹木を枯らし林冠ギャップが創出されることがある。これに関する新しい仮説「クマ剥ぎが光環境を改善し、林床植物の種多様性を向上させる」を検証し、支持する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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