2010 Fiscal Year Annual Research Report
比較ゲノムを利用したマツ属植物からのマツノザイセンチュウ抵抗性遺伝子の単離
Project/Area Number |
21780156
|
Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
平尾 知士 独立行政法人森林総合研究所, 森林バイオ研究センター, 研究員 (90457763)
|
Keywords | 比較ゲノム / マツ属植物 / クロマツ / マツノザイセンチュウ / 抵抗性遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は、比較ゲノムを利用して栽培作物で単離されている線虫抵抗性遺伝子をマツ属植物で単離し、マツノザイセンチュウ抵抗性との関連性を検証することで、クロマツおよびアカマツにおけるマツノザイセンチュウ抵抗性遺伝子を特定する。 平成22年度は、平成21年度に単離した遺伝子について抵抗性および感受性クロマツを利用して遺伝子の全長を決定した。抵抗性クロマツで発現している抵抗性候補遺伝子の全長について3'RACEおよび5'RACE法で決定した結果、TIR-NBS(Toll Interleukinl Receptor-Nucleotide Binding Site)モチーフを保有する遺伝子、NBS-LRR(Nucleotide Binding Site-Leu-Rich Repeat)モチーフを保有する遺伝子、NBSモチーフのみを保有する遺伝子の3タイプが存在し、抵抗性形質と関連のある遺伝子はTIR-NBSモチーフを保有する遺伝子であることが分かった。この遺伝子について、平成21年度同様に特異的に増幅可能なプライマーを作成し、クロマツ抵抗性個体×感受性個体のF1家系(108個体)を利用した抵抗性形質との関連解析を試みた結果、作成したDNAマーカーと抵抗性形質には統計的に有意な相関が観察でき、再現性についても高いことが確認できた。 トマトやジャガイモをはじめとする栽培作物では、寄生性線虫に対する抵抗性遺伝子の多くが、CC or TIR-NBS-LRRの構造を持つことが分かっている。本研究で得られた結果は、栽培作物で単離されている抵抗性遺伝子がマツ属植物でも存在していることを示し、マツノザイセンチュウに対する抵抗性反応にも関係していることを示唆している。今後はタンパク質-タンパク質相互作用の観点から、この遺伝子の機能に対しアプローチする必要がある。
|
Research Products
(3 results)