2010 Fiscal Year Annual Research Report
ユーカリが有する新規アルミニウム無害化物質の構造と機能の解明
Project/Area Number |
21780158
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
田原 恒 独立行政法人森林総合研究所, 生物工学研究領域, 主任研究員 (70445740)
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Keywords | 酸性土壌 / アルミニウム耐性機構 / フトモモ科樹木 / Eucalyptus camaldulensis / アルミニウム結合物質 / 構造解析 / ストレス応答 / 根含有物 |
Research Abstract |
ユーカリ(Eucalyptus camaldulensis)は、強酸性土壌で問題となるアルミニウム過剰害に強い耐性を持つ。本研究では、ユーカリのアルミニウム耐性機構に寄与していると考えられるアルミニウム結合物質の構造を解析するとともに、そのアルミニウム耐性における役割を明らかにすることを目的とする。 アルミニウム結合物質を塩酸中で加水分解したところ、加水分解物中にガスクロマトグラフィー-質量分析によって没食子酸とエラグ酸を同定した。この結果から、分解前の結合物質にガロイル基とヘキサヒドロキシジフェノイル基が含まれていることが推定され、本結合物質はポリフェノール類であることが明らかになった。また、本結合物質のアルミニウム結合能を、強いアルミニウム結合能を持つことで知られるクエン酸と比色法で比較した。その結果、等モル濃度の本結合物質は、クエン酸と同等の強いアルミニウム結合能を持つことが明らかになった。アルミニウムを含む溶液でユーカリを水耕栽培した場合、キレート剤によって抽出されるアルミニウム結合物質の量が根で増加したことから、アルミニウム添加栽培によって根内でのアルミニウム結合物質の存在形態が変化することが示された。茎や葉にもアルミニウム結合物質が含まれていたが、アルミニウム添加栽培による存在形態への影響は認められなかった。根内でアルミニウムがポリフェノールと結合して無害化されることが、ユーカリのアルミニウム耐性に寄与している可能性がある。
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