2012 Fiscal Year Annual Research Report
林床におけるササの優占メカニズムの解明ー個体単位の資源獲得様式と成長の関係ー
Project/Area Number |
21780159
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
齋藤 智之 独立行政法人森林総合研究所, 森林植生研究領域, 主任研究員 (00414483)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | クローナル植物 / 光環境のヘテロ性 / ササ / 成長解析 |
Research Abstract |
ササがどのようにして暗い閉鎖林冠下の森林内に侵入し、優占できたのか?に答える研究を行った。クローナル植物であるササの1個体(ジェネット)の分布範囲において、資源がどこにどのくらい存在し、個体のどの部分で成長が旺盛なのか、について個体の部分的な成長観察によって明らかにした。研究項目は下記の1)~3)を継続して行うことによって空間的に不均一な資源量の変動に対する個体発達の動態と資源獲得の対応関係を明らかにした。1)林床の資源量の不均一性の変動パターンを解明するために、各交点の積算光量子量を測定し、継続的に空間的な資源の分布構造を調べた。2)ササ個体の地下茎や稈の成長動態を明らかにするために、当初分布を調べて埋め戻した各個体の地下茎の伸長量や稈の生残および加入を調べた。3)ササ個体群のクローン構造の変化を明らかにするために、当初設定したプロットの全域に分布する個体の稈の生残と加入を調べた。個体識別は各稈の葉のDNA分析によって識別した。 チシマザサの20年生程度の更新個体群において継続的に個体群の空間分布構造を調べた結果、閉鎖林冠下には多くの小個体が同所的に混在した。個体はある程度発達すると地下茎を発生させ、死亡率が極めて低下し、ほとんど死ななくなった。閉鎖林冠下とギャップ下に存在する場合、ギャップでは成長速度が大きく、大きな個体に成長する。長期的には林冠樹木はギャップダイナミクスに従ってフェーズが変化するが、ササの個体はフェーズの変化に応答して個体発達と衰退を繰り返すとみられた。 成果としては蓄積してきたデータを論文にまとめた。ササが低光量環境である森林の林床に分布するとき、分布パターンは一様分布ではなく、最も光量が多いギャップ下で現存量がピークになり、林冠下に向かって次第に光量が減少するのと平行してササの現存量も減少した。この現存量の分布パターンを統計モデルを用いて表した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)