2010 Fiscal Year Annual Research Report
セルロースナノフィブリルの水分散体を出発とする機能的な階層構造の形成
Project/Area Number |
21780163
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 継之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (90533993)
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Keywords | セルロース / ナノ材料 / 自己組織化 / 生体模倣 |
Research Abstract |
自然界には機械的または動的な特性を示す多種多様な生体構造が見られるが、それらの多くはナノフィブリル状の構造単位が階層的に組み上げられた骨格を有する。ナノフィブリルを構成する分子は、セルロースやキチン等の多糖類が中心である。本研究は、天然セルロースのTEMPO触媒酸化で得られるナノフィブリルの水分散液を出発として、機能的な階層構造を人工的に構築することを目的とした。 前年度までに、水に分散したセルロースナノフィブリルがネマチック液晶状に配列することを明らかにしている。また、このナノフィブリル配列は分散液のpH制御や溶媒蒸発等の簡便なプロセスで固定化することも可能であった。 本年度は、これらの固定化プロセスを経て形成されたバルク材料の基礎特性について解析を進めた。例えば、分散液のpH制御で得られたハイドロゲルは、透明であり、固形分率わずか0.1%(水99.9%)で自立した。固形分率が0.4%になるとゲルを摘み上げて振ることもできた。この0.4%ゲルの平衡弾性率は10kPaに達しており、同濃度で比較した場合に既報のあらゆるハイドロゲルよりも高い性能を示すことが明らかとなった。また、このように堅いハイドロゲルが得られたため、溶媒置換-凍結乾燥のプロセスを経て超低密度エアロゲルを作製することもできた。このエアロゲルを構成するナノフィブリルは自己配列しており、従来にない異方的な空隙構造を有していた。 これらの「自己配列したナノフィブリルの高次構造体」は、従来のセルロース系素材では実現しえない人工材料である。これを基盤材料として複合化や更なる表面改質等を経れば、既存の人工材料を超えた機能・性能を有する各種バイオベース材料へと用途展開が可能であろう。
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Research Products
(27 results)