2009 Fiscal Year Annual Research Report
リグノスルホン酸の水酸基とスルホ基をそれぞれ賦形化と機能発現に活用した材料創製
Project/Area Number |
21780165
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺本 好邦 Kyoto University, 農学研究科, 助教 (40415716)
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Keywords | リグニン / リグノスルホン酸 / 賦形化 / 機能化 / 微視的複合化 |
Research Abstract |
本研究は,リグノスルホン酸(LSA)のスルホ基を活かしたまま賦形化し,機能材料のベース素材として新規用途展開を図ることを目的とした.平成21年度は,LSAを含有する多孔性粒子とヒドロゲルを調製して,生理活性物質であるニコチンの吸脱着能を評価し,以下の成果を得た. 1. 賦形化 (1) 多孔性粒子:LSAをセルロースアセテート(CA)ベースの多孔性粒子のコンポーネントとすべく,複合化した.CAは吸着フィルター材料として汎用である.粒子中のLSA含有率を高めるために,CAとLSAのいずれとも良好に相溶するポリビニルピロリドン(PVP)を相溶化剤として用いた.複合化に際しては,a)複合体構成成分の混合溶液の非溶剤への再沈殿,ならびにb)別途調製したCA/PVPコンプレックスのLSA水溶液への浸漬によるLSA吸着,の2通りの方法を検討した.その結果,いずれの方法でも40wt%のLSAを含む粒子を調製できた. (2) 複合ヒドロゲル:LSAとポリビニルアルコール(PVA)の水溶液を種々の割合で混合し,架橋剤を加えることによって,最大で30wt%程度のLSAを含有するゲルを調製できた. 2. 吸脱着機能の評価 (1) 多孔性粒子のニコチン吸着能:固液系での多孔性粒子のニコチン吸着挙動を緩衝液中で調査した.吸着モデルによりデータを整理した結果,上述の複合化法b)によって得た試料は,多孔性粒子表面にLSAが局在しているため,ニコチンと高い頻度でイオン性相互作用していることがわかった. (2) ハイドロゲルのニコチン吸脱着能の評価:ゲル調製時にニコチンを含浸させた試料について,水中でのニコチン放出挙動を調査した.その結果,LSAを含有することによってニコチン放出速度がやや低下することがわかった.
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