2009 Fiscal Year Annual Research Report
木質構造を対象とした有限要素解析モデルの開発に関する研究
Project/Area Number |
21780167
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瀧野 敦夫 Osaka University, 工学研究科, 助教 (10403148)
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Keywords | 有限要素解析 / 木材 / 異方性 / 木質構造 |
Research Abstract |
本研究では,有限要素解析に用いる木材の材料定数について考察を行うために,木材の基礎的な材料試験ならびに接合部試験を行った。さらに汎用有限要素解析プログラムを用いて3次元の有限要素解析を実施し,実験結果と比較検討することで,適切な木材の材料定数について考察した。材料試験は,木材の繊維方向に加力する縦圧縮試験,繊維直交方向に加力する横圧縮試験,ブロックせん断試験,めり込み試験を実施した。圧縮試験やブロックせん断試験より得られた材料定数を用いてめり込み試験の解析を実施した。木材のめり込みは,種々の木質接合部の多くに現れる靱性に富んだ破壊現象であり,接合部の解析を行うにあたりめり込み現象は避けて通ることができないため,まずはめり込み試験の有限要素解析を行った。今回の結果から,解析に用いる材料定数の中でも特にポアソン比による影響が大きいことがわかり,簡易的な等方性モデルでは適切に実験結果を再現できなかった。そこで,直交異方性モデルを用いた解析を行った。なお,等方性モデルでは2つの独立パラメータだけでよいが,直交異方性モデルでは合計で9つの独立パラメータを入力する必要があるため,材料試験より得られた値以外に木材工業ハンドブックに掲載されている基準値も解析に用いた。異方性モデルの解析において,ポアソン比を修正することで解析結果と実験結果は概ね良い対応を示した。しかし,本研究では初期の弾性剛性のみの検討しか行っておらず,今後は異方性モデルの材料非線形性について考察を進める予定である。接合部試験については,腰掛け鎌継ぎの引張試験と追掛大栓継手の曲げせん断試験を実施した。現在,試験体と同じ載荷条件となる解析モデルを作成しており,次年度にかけて3次元の有限要素解析を実施する。
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