2011 Fiscal Year Annual Research Report
木質構造を対象とした有限要素解析モデルの開発に関する研究
Project/Area Number |
21780167
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瀧野 敦夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (10403148)
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Keywords | 有限要素解析 / 木材 / 異方性 / 木質構造 |
Research Abstract |
近年は、汎用有限要素解析ソフトが非常に発達したにも関わらず、木材をモデル化した材料モデルが組み込まれていることは稀であり、異方性材料である木材の材料モデルや要素モデルの定義において非常に困難な作業を伴うことが多い。そこで本研究では、基礎的な材料試験に基づいて、木材の構成則について考察するとともに、接合部などの実験へ解析を応用し、木質構造を対象とした有限要素解析モデルの提案を目的とする。本年度は、材料非線形および異方性を考慮した有限要素解析と筋かい架構の水平加力試験を実施した。 有限要素解析においては、汎用有限要素解析ソフトウェアであるLS-DYNAに含まれる木材モデルの適用可能性を検証した。この木材モデルは繊維方向と繊維直交方向の2方向のみを考慮した異方性モデルであり、昨年度までに実施した材料試験結果からこの材料モデルが妥当であるとの判断をし、本研究で使用した。この簡略化した異方性モデルを用いて、昨年度までに実施した圧縮試験やブロック試験、貫加工による柱梁仕口の曲げせん断試験の有限要素解析を実施した。一部の解析では完全に再現できないものも見られたが、全体を通じて非常に精度の高い解析結果を得ており、解析モデルが妥当であることを確認した。今後は、さらにいろいろなモデルへと応用することで、解析手法のさらなる精度向上を目指す。 筋かい架構の水平加力試験については、筋かい端部をボルトで固定した筋かい試験体やその試験体に合板を釘で留めつけた試験体を作成し、水平せん断加力試験を実施した。破壊は、端部のボルト接合部や接合金物などで生じた。今後は、これらの解析についても、本研究で提案している手法を応用していく。
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