2010 Fiscal Year Annual Research Report
最適な木材乾燥条件および炭化条件を決定するための新荷重計の開発
Project/Area Number |
21780170
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
久保島 吉貴 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 主任研究員 (40353669)
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Keywords | 林産学 / 乾燥 / 炭化 / モニタリング |
Research Abstract |
これまでに1気圧以上の高温高圧水蒸気中における小試験体と実大材の含水率の経時変化と各条件における平衡含水率を求めたが,測定には耐熱性,耐湿性および簡便性から歪みゲージ方式の荷重計を試作したため,歪みゲージの接続に温度補償回路を用いても,歪みゲージの温度上昇に伴う荷重出力の温度ドリフトを完全に排除することが出来なかった。そこで,荷重計の温度ドリフトを改善することを目的として,上下2枚の電極板を4本のコイル状のばねで連結し,上の電極板に設置した荷重の増減でばねが伸縮し,その結果変化する電極間距離を電気容量によって検出する方式の電気容量式荷重計を試作した。この方式は,電気容量が電極間距離に反比例することおよびばねのフックの法則から,電極に設置した試験体の重量が乾燥処理や炭化処理によって減少すると電極間距離が増大し,それに伴い電気容量が減少することを利用している。2枚の電極板が互いに導通しないようにするため,インコネル製電極板をセラミクス製ベースに留めることによって作製した電極部を2枚用い,上側の電極用ベースを下側の電極用ベースに立てたばねで支持し,電極間に交流電圧をかけて電気容量を測定した。その結果,400-900℃の温度範囲では,電気容量は20kHz-100Hzの範囲で周波数および温度依存性が小さかった。さらに,加熱初期の炭化炉の温度が上昇中は,従来の歪みゲージ式荷重計では歪みの温度ドリフトが存在したのに対し,本荷重計では電気容量の変化があまり観察されなかった。以上より,適切な周波数帯の交流を印加して電気容量を検出する方式の荷重計が高温条件の木材の重量変化を精度良く測定するために有効となる可能性が推察された。今後の課題として,十分な耐熱性を持ちながら,かつ荷重変化に十分敏感なばねを開発することが示された。
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