2009 Fiscal Year Annual Research Report
サケ科魚類のビテロジェニンとその受容体に関するインターラクトーム解析
Project/Area Number |
21780172
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平松 尚志 Hokkaido University, 大学院・水産科学研究院, 助教 (10443920)
|
Keywords | 水産学 / 魚類繁殖生理学 / ビテロジェニン / ビテロジェニン受容体 / サケ科魚類 / 蛋白質相互作用 |
Research Abstract |
本研究は、魚類の卵黄形成機構において特に未解明な、卵黄蛋白前駆物質(ビテロジェニン:Vg)とVg受容体(VgR)の結合関係を蛋白質相互作用解析(インターラクトーム)により明らかにすることを目的とする。H21年度は予定した実験計画に沿い、1)カットスロートトラウトの完全型Vg(sVg)およびVgRを各々組み込んだ酵母2ハイブリッド(Y2H)ベクターの構築、ならびに2)VgC受容体の生化学的手法による検索・精製を試行した。 エストロジェン処理を行ったカットスロートの肝臓および同種雌の卵巣からtotal RNAを抽出し、逆転写反応により鋳型とするcDNAを得た。近縁種ニジマスのsVgおよびVgRの塩基配列を参考にして設計したプライマーを用い、PCRとTAクローニング法によりpGEM-T Easy Vector内にこれら各標的配列の全長を含むcDNAクローンを得た。得られたクローンの内部配列をシークエンスにより確認したところ、sVgおよびVgRは各々1663および848アミノ残基からなる全長翻訳領域を含んでいることが明らかとなり、またその配列は他魚種のVgおよびVgRと高い相同性を示した。これらsVgおよびVgR配列を、In-Fusion Advantage PCR kitを用いてpGADT7(プレイ)とpGBKT7(ベイト)ベクターにサブクローニングした。 カットスロートのVgC受容体を検索する際、リガンドとなるVgCを大量に且つ簡便に得るため、組換えVgCの作製を試みた。初めに上記と同様な方法にて近縁種アメマスのVgC配列を参考にしてプライマーを設計し、カットスロートの肝臓よりVgCのクローニングを行った。得られたcDNAクローンは、1281アミノ残基の全長翻訳領域を含んでいることが明らかとなり、その配列は他魚種のVgCと高い相同性を示した。 以上、H21年度は今後のインターラクトーム解析に必要なY2Hクローンの構築を完了し、また組換えVgC蛋白の作製に必要な全長クローンを得、VgC受容体の検索に向けた準備ができた。同成果は、本研究の目的を遂行する上で必要不可欠なツールを揃えた点で意義深く、今後、魚卵蛋白質の構築において最も重要な過程の一つであり、且つ未解明な過程である卵黄前駆体の取込み過程が明らかになると期待される。
|