2010 Fiscal Year Annual Research Report
サケ科魚類のビテロジェニンとその受容体に関するインターラクトーム解析
Project/Area Number |
21780172
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平松 尚志 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 助教 (10443920)
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Keywords | 水産学 / 魚類繁殖生理学 / ビテロジェニン / ビテロジェニン受容体 / サケ科魚類 / 蛋白質相互作用 |
Research Abstract |
本研究は、魚類における卵黄前駆体(ビテロジェニン:Vg)とVg受容体(VgR)の結合関係を蛋白質相互作用解析(インターラクトーム解析)により明らかにすることを目的とし以下の実験を行った。 1.Matchmaker Gold Y2H System(Clontech)を用い、VgRをコードするベイト(餌)ベクターに対し、3つのプレイ(捕食)ベクターを用いてメイティングした。プレイは完全型Vg(sVg)の全長に加え、リポビテリン重鎖(LvH)領域又はフォスビチン(Pv)・Lv軽鎖(PLL)領域を含む配列を含むように構築した。各々のプレイをベイトとメイティングし、プレイとベイトの結合を示す形質、即ちアミノ酸要求性、Aureobasidin A耐性、ガラクトシダーゼ産生の形質獲得について観察した。その結果、VgR+PLL株は、他のプレイ株を用いたメイティング試験に対して比較的強いガラクトシダーゼ活性を示す傾向にあった。 2.Matchmaker Chemiluminescent Co-IP System(Clontech)を用い、Y2H法で得られた結果を免疫沈降法で再確認した。その結果、Y2Hで得られた結果と同様に、VgR+PLL株が最も高い結合を示した。 3.pET302(ホストOrigami又はRosetta-gami B)並びにpNCM02(ホストBrevibacillus)を用い、組換えC型Vg(VgC)の発現を試みた。その結果、pET302とRosetta-gamiBの組合せにより極めて微量ではあるが組換えVgCの発現が確認された。 以上、サケ科魚類で初めてsVg分子中の受容体結合部位がPLL領域上にある可能性が示唆された。一方、VgCの受容体を同定するために用いる組換えVgCの作製は可能なものの、その大量生産は困難であると判断された。本研究はこれまで未解明であった卵黄前駆体とその受容体の結合関係を、インターラクトーム解析により一部明らかにし、魚類の卵形成機構解明の一助となる知見を得たものとして意義深い。
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