2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780174
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邊 壮一 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特任研究員 (20507884)
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Keywords | アミノ酸 / 消化管 / 栄養吸収 / 浸透圧調節 |
Research Abstract |
平成21年度の研究遂行の結果、広塩性魚ティラピアの消化管に発現する16種のアミノ酸輸送体についてmRNAの全長配列を同定した。この中には体内で合成できない必須アミノ酸の輸送に関与すると考えられるものを不足なく含む。同様の機能を果たす他の未同定分子の存在については今後の検討課題であるが、現在までに同定された輸送体分子が消化管におけるアミノ酸吸収に深く関与していることが示唆される。現在、飼育環境、条件の変化に応答した同定済輸送体遺伝子の発現変動について検討しており、同定した輸送体のうち環境変化に応答するものを選別中である。 また飼育環境の違いによる筋肉組織中のアミノ酸含量についても検討を行なった。その結果、特に環境移行時における顕著なアミノ酸含量の変化が短期的に観察された。しかし、長期間馴致させたものについて比較してみると、大きな違いは見出されなかった。このことは筋肉中アミノ酸含量変化が体液浸透圧変化と強い相関関係にあることを示唆している。さらに筋肉水分含量などと同時に検討したところ、水分量変化による希釈、濃縮の結果としての筋肉単位重量当たりのアミノ酸含量変化の範囲を超えてアミノ酸含量が変化していることが考察された。このことは細胞自身が積極的に細胞内アミノ酸濃度を調節していることを示唆している。 当年度での研究により、未だ消化管でのアミノ酸吸収との関係は明らかでないものの、魚類において環境変化に連動して起こるアミノ酸調節メカニズムの存在が強く示唆された
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