2011 Fiscal Year Annual Research Report
生態および代謝学的知見による水産プロバイオティクス菌の有効性の実証
Project/Area Number |
21780176
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田中 礼士 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 准教授 (80447862)
|
Keywords | プロバイオティクス / アワビ / 標識 / 生態 / 代謝 |
Research Abstract |
本年度は、プロバイオティクス菌が作り出す各種短鎖脂肪酸を網羅的に解析し、どのような成分が宿主に供給されるのか検証することを目的とし、擬似消化管培養を行い、プロバイオティクス菌の代謝解析を行った。アワビ消化管内の化学的条件(pH、酸化還元電位など)を測定し、これと同じ条件での培養装置を作製した。プロバイオティクス候補菌としてVibrio属細菌BL7a株を、作製した擬似消化管培養器を用いて培養し、このときの代謝産物(短鎖脂肪酸)について高速液体クロマトグラフィーを用いて解析を行った。さらに微小な発酵代謝産物を特定するために質量分析計(CETOFMS)を用いて物質の定量を行い、BL7a株の代謝経路を推定した。 その結果、アルギン酸を基にして、有機酸、アミノ酸を含む43種の代謝物質が検出された。また、検出された代謝物質の内27種の定量値を算出したところ、最も多く産生された物質は揮発性の短鎖脂肪酸であり、なかでもピルビン酸(8.9mM)、ギ酸(3.2mM)、酢酸(2.1mM)、乳酸(1.5mM)、コハク酸(1.2mM)などであった。ついでアミノ酸ではアラニン(0.7mM)が最も多く産生されていた。定量は不可能であったが相当量産生されていると考えられる物質も検出された。それらはアミノ酪酸や、アラニンの2量体であった。 これらの結果からプロバイオティクス菌BL7a株は、疑似アワビ消化管環境においてピルビン酸を中心とした代謝経路とTCA回路を中心としたアミノ酸発酵による代謝を駆使し、多くの代謝物質を宿主であるアワビに供給していることが示唆された。
|
Research Products
(5 results)