2009 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカイン遺伝子をバイオマーカーとした魚類の健康診断
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21780180
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
河野 智哉 University of Miyazaki, IR推進機構, 助教 (60527547)
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Keywords | フグ / インターロイキン17(IL-17) / 炎症反応 / リポポリサッカライド(LPS) |
Research Abstract |
初年度である平成21年度は、魚類の健康診断法を確立するためのマーカー遺伝子の分離ならびに、免疫刺激下における当該遺伝子の発現動態を解析した。 フグより、炎症反応の中でも特に抗細菌(細胞外増殖性)および抗真菌免疫応答において重要な働きをするインターロイキン(IL)-17遺伝子の分離を試みた。その結果、フグには、哺乳類で知られる6つのファミリーメンバー(IL-17A,B,C,D,E,F)のうち、IL-17AまたはF(A/F)、CおよびDにホモログな遺伝子が存在することが明らかとなった。さらに、どのファミリーメンバーにも属さない新規のIL-17ファミリー分子(IL-17 Novel : IL-17N)の分離・同定にも成功した。 さらに、他の生物における当該遺伝子の存在を探るために、哺乳類、両生類、昆虫などのゲノムデータベースを解析したが、IL-17Nに類似した遺伝子は確認されなかった。このことから、IL-17Nは魚類特有のIL-17ファミリーメンバーである可能性が示唆された。 組織における発現をRT-PCRによって確認したところ、頭腎(IL-17Cl,-17N)や脾臓(IL-17A/F3)などの造血組織、表皮(IL-17A/F2)や鰓(IL-17A/F3,-17C2,-N)などの粘膜組織において、顕著に高い発現が認められた。当初、粘膜免疫の中心的な役割を果たす腸において発現が高いことを予想していたが、当該器官における発現は、いずれのIL-17遺伝子においても低いものであった。続いて、グラム陰性菌(大腸菌)の細胞壁外膜の構成成分であるリポポリサッカライド(LPS)で経時的に頭腎を刺激し、炎症時におけるIL-17遺伝子の発現動態を予測した。その結果、全てのIL-17遺伝子が、LPSの刺激によってコントロールと比べ有意に発現量が増加した。さらに、LPS刺激後1~12時間において、各遺伝子の発現量はピークをむかえ、その後減少する傾向にあった。これらの結果から、急性の炎症反応において、魚類のIL-17は重要な役割を果たすことが示唆された。
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Research Products
(4 results)