2010 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカイン遺伝子をバイオマーカーとした魚類の健康診断
Project/Area Number |
21780180
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
河野 智哉 宮崎大学, IR推進機構, 助教 (60527547)
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Keywords | フグ / サイトカイン / 発現解析 / IL-2 / TGF-β1 |
Research Abstract |
本年度は、組換えタンパク質を利用した魚類(フグ)のサイトカインの機能解析と、病原体感染時におけるサイトカイン遺伝子の発現動態を解析した。組換えタンパク質の合成は、哺乳類において免疫応答の方向付けに重要なことが知られる、IFNγ,IL-4/13,IL-4/13B,IL-17A/F1,TGF-β1について、小麦胚芽抽出液による無細胞組換えタンパク質合成系を利用して行ったが、全て不溶性となり回収することができなかった。このため、合成システムを無細胞系から大腸菌を用いた組換えタンパク質合成系に変更した。しかしながら、研究期間内に機能解析に供試できる十分量の組換えタンパク質を回収するには至らなかったが、魚類サイトカインの組換えタンパク質作製に適した合成系を確立できた。 病原体感染時におけるサイトカイン遺伝子の発現解析は、IFNγ,IL-2,IL-4/13A,IL-4/13B,IL-10,IL-17A/F1,IL-17A/F2,IL-17A/F3,IL-21,TGF-β1などのサイトカイン遺伝子を対象とした。刺激後の早い段階(4時間)で有意に発現が増加した遺伝子は、IFNγ,IL-4/13A,IL-17A/F2,IL-21,TGF-β1であった。また、リンパ球の増殖因子であるIL-2遺伝子は、刺激後8時間目から増加し、48時間後にはコントロールと比べ約46倍の発現量に達した。この時、細胞増殖抑制作用をもつ制御性サイトカインTGF-β1遺伝子の発現量も顕著な増加(47倍)が認められた。これらの結果は、魚類における免疫システムが、サイトカインによって複雑に制御されていることを示唆するものである。以上の結果より、魚類の健康状態の把握には、特にリンパ球の増殖制御に深く関わるサイトカイン:IL-2やTGF-β1遺伝子などを指標にすることが有効であると考えられる。
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