2009 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸性カイアシ類の有毒渦鞭毛藻に対する摂餌選択性の解明
Project/Area Number |
21780183
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
山田 雄一郎 Kitasato University, 海洋生命科学部, 講師 (80458744)
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Keywords | 動物プランクトン / カイアシ類 / 有毒藻類 / 摂食活性 / 摂餌選択性 |
Research Abstract |
・岩手県沿岸において採集したカイアシ類AcartiaおよびEurytemoraに、実験室内で培養した有毒渦鞭毛藻Alexandruimを異なる細胞密度で与え、摂食活性を測定した。Acartiaでは細胞密度の増加とともに摂食活性が増加したが、Eurytemoraではある一定の細胞密度を超えると、摂食活性は細胞密度の増加とともに減少した ・有毒渦鞭毛藻Alexandruimが産生する化学物質がカイアシ類の摂食活性に与える影響について実験を行った。カイアシ類Eurytemoraが好んで摂食する無毒ハプト藻に、Alexandruimの細胞を培養液ごと破砕して得た抽出液を混合させてカイアシ類に与えたところ、摂餌活性の大幅な低下が確認された ・有毒渦鞭毛藻Alexandruimの細胞内外に存在する化学物質がカイアシ類の摂餌活性に与える影響について実験を行った。カイアシ類が好んで摂食する無毒渦鞭毛藻類に、Alexandriumの細胞抽出液と培養ろ液とを分けてそれぞれ混合させ、カイアシ類に与えたところ、両者ともに摂餌活性が大きく低下したことから、カイアシ類の摂餌活性を低下させる物質はAlexandruimの細胞内に存在するだけでなく、細胞外にも放出されていることが明らかになった。 ・カイアシ類の摂餌活性を低下させる物質として、Alexandriumが産生する麻ひ性貝毒物質(PSP)に着目し、PSP濃度とカイアシ類の摂餌活性との定量的な関係についての実験を行った。Alexandrium細胞抽出液に含まれるPSP濃度を高速液体クロマトグラフィーにより測定したのち、この細胞抽出液を無毒渦鞭毛藻に濃度を変えて混合させてカイアシ類Eurytemoraに与えたところ、試水中のPSP濃度とカイアシ類の摂餌活性との間には有意な負の相関が確認された。
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