2009 Fiscal Year Annual Research Report
DNAマーカーによる砂浜の生態系ネットワークの解明
Project/Area Number |
21780189
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Research Institution | National Institute for Land and Infrastructure Management |
Principal Investigator |
渡邊 国広 National Institute for Land and Infrastructure Management, 河川研究部・海岸研究室, 研究官 (30444061)
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Keywords | 海洋生態 / 海岸保全 / 生態学 / 遺伝子 / 海岸工学 |
Research Abstract |
平成21年度は、砂浜の生態系ネットワークを解明するうえで必要な情報となる海浜生物の地理的な遺伝的集団構造についての研究を主におこなった。また、平成22年度以降に主に実施予定の、砂浜内における海浜植物の分布拡大過程(砂浜内における海浜植物のクローン解析)についての研究のための予備調査も実施した。 まず、日本全国11海岸の海岸環境に関する既往の調査報告書を収集し、海浜生物の生息状況を整理したうえで、対象とする生物種として、ハマヒルガオ、ハマエンドウ、コウボウムギ、ハマボウフウ、ハマゴウ等を選定した。次に、これらの海浜生物を徳島県蒲生田海岸において採取し、標本からの粗全DNA抽出についての予備実験をおこなって、効率的な標本採集および処理方法を確立した。あわせて文献調査を実施し、分析に用いるDNA領域を決定して、DNAの部分塩基配列の増幅に使用するユニバーサルプライマーを設計した。これらの検討結果を踏まえて、仙台湾南部海岸、浜松海岸、伊勢湾西南海岸、宮崎海岸において標本採集をおこなった。伊勢湾西南海岸では、標本採取に加えて植生調査を4回実施し、海浜植生の分布変化・遷移過程についてのデータを取得した。 上記の平成21年度に実施したのはいずれも予備実験的な内容が中心であったが、本研究では多くの調査地点で現地調査を実施し、膨大な数の標本を処理する必要があるため、初年度にこうした検討を綿密におこない、効率的な実施方法を確立しておくことが肝要である。次年度は本年度で確立した手法によって標本の採取と分析を進めていく。
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