2010 Fiscal Year Annual Research Report
紅藻スサビノリ尿素トランスポーターの機能特性解析による窒素取込みの分子機構の解明
Project/Area Number |
21780196
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
柿沼 誠 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 准教授 (60303757)
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Keywords | 紅藻 / スサビノリ / トランスポーター / 窒素同化 / 色落ち / 栄養塩 / 環境応答 / 尿素 |
Research Abstract |
紅藻スサビノリには,一次構造の異なる2種類の尿素トランスポーター(PyUT1およびPyUT2)が存在し,これらをコードする遺伝子は海水中の栄養塩類濃度の低下によって発現誘導される.本研究では,PyUTの細胞内機能特性を調べ,スサビノリ葉状体の栄養塩類取込みの分子機構におけるPyUTの役割を明らかにすることを目的とした まず,PyUTlおよびPyUT2のC末端側に緑色蛍光タンパク質(GFP)を付加したGFP融合タンパク質,PyUT1-GFPおよびPyUT2-GFPの酵母用発現ベクターを構築した.各発現ベクターを用いて野生型酵母を形質転換し,酵母内でPyUT1-GFPおよびPyUT2-GFPを発現させた.共焦点レーザー顕微鏡を用い,GFP蛍光を指標として酵母内での発現タンパク質の局在性を調べたところ,両タンパク質が細胞膜に局在することが確認された.したがって,酵母内で発現させたPyUTはネイティブ構造を有し,その機能性も保持されていることが示唆された.次に,各発現ベクターを用いて尿素トランスポーター遺伝子(DUR3遺伝子)欠損型酵母を形質転換し,PyUT遺伝子によるDUR3遺伝子相補試験を行った.尿素を窒素源としたプレート培地上で形質転換酵母の生育低下が認められた.したがって,PyUTは細胞膜の尿素輸送体としてではなく尿素以外の物質輸送体として,あるいは細胞内の尿素輸送体として機能している可能性が考えられた. そこで,PyUT1およびPyUT2の一次構造を基にしてペプチドを合成し,これを利用して各PyUTを特異的に認識するポリクローナル抗体を作製した.現在,スサビノリ葉状体の切片を作製してポリクローナル抗体による免疫染色を行い,スサビノリ細胞内におけるPyUT1およびPyUT2の局在性を調べている.
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