2011 Fiscal Year Annual Research Report
新しい水産資源としてのイソギンチャクの有効利用に関する基礎的研究
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21780200
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Research Institution | Tokai University Junior College |
Principal Investigator |
本間 智寛 東海大学短期大学部, 食物栄養学科, 講師 (90435272)
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Keywords | イソギンチャク / ペプチド毒 / 水産資源 / 食用 / 深海 |
Research Abstract |
1.有明海沿岸で食用とされるイシワケイソギンチャクから単離したペプチド毒および、外国産イソギンチャクActinostephanus haeckeliから単離したペプチド毒について、3'Race法と5'Race法によるcDNAクローニングを行い、その前駆体構造を明らかにした。従来のイソギンチャクのペプチド毒前駆体と同様に、シグナルペプチド、プロパート部、成熟ペプチドから構成されていた。 2.隠岐の島沿岸で食用とされる深海産イソギンチャクから単離した6成分のペプチド毒の内、混合物とみられる3成分については、いずれの毒成分も従来のイソギンチャクのペプチド毒と同様に、安定性が非常に高く、逆相HPLCによっても失活しなかったため、逆相クロマトグラフィーのカラム条件等の検討を行い、再精製を試みた。 3.前年度、サワガニに対して毒性が認められ、サイズ排除クロマトグラフィーの溶出位置からペプチド毒と推定されたオヨギイソギンチャクの毒成分は、従来のイソギンチャクのペプチド毒とは異なり、その安定性が低く、逆相HPLC後には活姓を確認できなかった。現在、他のクロマトグラフィーによる精製を試みている。 4.北海道から島根県に亘る日本海沿岸の水深600~1400mほどで採集された深海産イソギンチャク十数種を入手し、サワガニに対する毒性をスクリーニングしたところ、ヒダベリイソギンチャク科Metridium属のイソギンチャク粗抽出液に、致死活性が8倍希釈液、麻痺活性が128倍希釈液までの活性が認められた。致死活性と麻痺活性との差が大きいことから、致死成分とは別に麻痺のみを示す新規ペプチド毒が存在する可能性も考えられることから、現在、サイズ排除クロマトグラフィーと逆相HPLCによって、毒成分の単離を試みている。
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