2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機酪農経営の有機飼料生産における環境影響と経営経済の環境会計手法による統合分析
Project/Area Number |
21780209
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
増田 清敬 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (20512768)
|
Keywords | 環境会計 / LCA / 有機飼料 / 有機酪農 / 環境影響評価 / 経営経済評価 |
Research Abstract |
本研究の目的は,環境会計を用いてわが国の有機酪農における有機飼料生産の環境影響および経営経済に関する定量評価を行うことである.具体的には,有機酪農における有機飼料生産は,慣行飼料生産に対して環境にやさしいのか,追加的なコスト増加はどのような構造なのか,という点の解明を試みるものである.今年度は,以下の2点の分析を行った. 第1に,前年度に推計した有機飼料および慣行飼料生産における環境負荷排出量について,日本版被害算定型影響評価手法(LIME)による外部費用係数を用いて,全て金額ベースに換算した後で,有機飼料生産と慣行飼料生産を比較評価した.分析の結果,有機飼料生産の方が慣行飼料生産よりも外部費用が小さく,「有機飼料は慣行飼料よりも環境にやさしい生産体系である」点が明らかになった. 第2に,環境会計分析によって有機飼料および慣行飼料生産におけるコスト負担構造を定量的に把握した.分析の結果,有機飼料生産による環境負荷削減効果は,化学肥料や農薬を使用せずに有機肥料や機械除草で代替することなどに伴う経営経済的な負担増大とひきかえに得られることが示唆された. 以上から,本研究では,有機飼料生産における定量的な環境情報・経営経済情報を得ることができた.本研究で得られた成果は,生産者にとっては自身の有機飼料生産に関する改善点の把握や自己評価に活用できると考える.加えて,消費者に対しても有機牛乳生産の原料である有機飼料生産プロセスの情報開示となり,わが国の飼料自給率向上に対するアピールや安全・安心な有機牛乳生産に対する理解を深めることなどに活用できると考える.
|
Research Products
(2 results)