2010 Fiscal Year Annual Research Report
食品安全性に対する消費者の非補償型選択行動の解明に関する実証的研究
Project/Area Number |
21780213
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
岩本 博幸 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (90377127)
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Keywords | 農業経済学 / 食品安全性 / 消費者評価 / 経済統計学 |
Research Abstract |
1.分析モデルの検討 プレテストでは,地場農産物を活用した洋菓子の消費者評価を分析対象としたPayment card方式のCVMを実施した.非補償型選択ルールを持つ消費者を検出するために,あらかじめ,通常の洋菓子の基準価格を回答者に提示することで,基準価格を割高に捉えた回答者と割安に捉えた回答者間での評価額の差異を明示的に分析取り入れるよう試みた.分析の結果,基準価格を割安に感じた回答者の洋菓子に対する価格プレミアムは高くなる傾向にあることが示された.この要因のひとつとして,消費者に通常のモンブランに対する「値ごろ感」が参照点として存在していることが示唆された.参照点問題の存在を検討するには,割安に捉えられた場合と同様に,割高に捉えられた場合のWTPに与える影響を実証することが挙げられるなど,本調査に取り組むべき課題が明らかになった. 2.本調査の実施 分析対象品目の設定,およびプレテストを経て,本調査を実施した.プレテストでは,(1)評価対象財を構成する属性とその水準を適切に設定しているか,(2)参照点の存在と損失回避性による非補償型選択ルールを持つ消費者を検出する質問が機能しているか,(3)選択ルールに影響を与える要因を捉えるための質問が適切に設定されているか,について検討しながら実施した.また,本調査は,近接している分野の専門家からの助言を得つつ計画を検討し,インターネットリサーチを活用して実施した.
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