2011 Fiscal Year Annual Research Report
植民地期朝鮮における農業教育と勧農政策-普通学校を中心に-
Project/Area Number |
21780215
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
土井 浩嗣 熊本学園大学, 外国語学部, 講師 (50522398)
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Keywords | 農業教育 / 農業史 / 教育史 / 朝鮮史 / 韓国 / 朝鮮 / 植民地 |
Research Abstract |
本研究計画の最終年(3年目)に当たる平成23年度は、これまで2年間進めてきた農業教育関連資料の調査・収集・分析の成果を、学会発表や論文投稿の形で取りまとめていく1年であった。 昨年度初めて明らかにした1920年代半ば以降の実業補習学校の拡充・重点化という事実を踏まえ、まず関西農業史研究会第330回例会(4月9日)において「「産米増殖計画」と農業教育-普通学校・実業補習学校・"八尋生男"-」というテーマで学会発表を行った。この中では30年代の農村振興運動までを連続的に把握するための新たな試みとして植民地期の農業技師・農政官僚であった八尋生男も取り上げている。 その一方で、10年代の普通学校の農業教科書を素材として、日本内地と植民地朝鮮における明治農法の受容過程の差異を解明する比較研究も行った。その成果は、第2回中日韓朝言語文化比較研究国際シンポジウム(8月23日)での学会発表となり、中国や韓国の研究者とも意見交換する場を得ることにもつながった。 続く第62回朝鮮学会大会(10月2日)では「「産米増殖計画」期における農業教育の再検討-普通学校・実業補習学校を中心に-」というテーマで学会発表を行った。これは4月の学会発表の内容に、1926年の計画更新前後の資料を補い、分析をさらに緻密化したものである。これによって実業補習学校拡充に至る経緯や1929年の普通学校での「職業科」必修科目化に関して従来とは異なる独自の見解を提示することができた。なお、24年度前半に国際シンポジウム論文集と『朝鮮学報』に論文が掲載される(決定済み)。 本計画を終えるに当たり、勧農政策の視角から植民地期め農業教育を考察するという新しい研究手法によって、10年代の普通学校での農業教育や26年以降の実業補習学校の拡充などいくつもの事実を掘り起こすことができたと考えている。
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