2010 Fiscal Year Annual Research Report
環境会計情報が経営者意識および経営展開に及ぼす影響-北海道畑作経営を事例として-
Project/Area Number |
21780218
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
関根 久子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター・北海道農業経営研究チーム, 任期付研究員 (80455302)
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Keywords | 環境会計 / 農業経営体 / 畑作経営 |
Research Abstract |
環境省「環境会計ガイドライン2005年版」によれば、一般的に企業に導入されている環境会計には以下に示す三つの構成要素がある。一つは環境保全コストである。環境負荷の発生の防止、抑制または回避、影響の除去、発生した被害の回復またはこれに資する取り組みのための投資額および費用額とし、貨幣単位で測定する。二つは環境保全効果である。これは環境負荷の発生の防止、抑制または回避、影響の除去、発生した被害の回復またはこれらに資する取り組みによる効果とし、物量単位で測定する。三つは環境保全対策に伴う経済効果である。これは環境保全対策を進めた結果、企業等の利益に貢献した効果とし、貨幣単位で測定する。 畑作経営における環境保全活動は、化学肥料および化学合成農薬の投入削減と捉えることができる。化学肥料の投入に代替される堆肥の投入や化学合成農薬の投入に代替される除草作業の労賃などが環境保全コストとなり、これらコストをかけて削減した化学肥料や化学合成農薬の削減量が環境保全効果となる。ただし、エネルギーの使用が増えれば環境保全効果は必ずしもプラスになるとは限らない。環境保全対策に伴う経済効果は、化学肥料や化学合成農薬の投入が削減されたことによるコスト低下および農産物の販売価格上昇等である。 本年度は、北海道畑作地帯に位置するA町の畑作経営を対象に、環境保全型農業の取り組みの一つである堆肥の利用に関し、アンケート調査を行った。具体的には、1.環境会計情報が提供される前の畑作経営の環境問題に関する意識について、2.堆肥の利用による化学肥料の削減や収量・品質の向上等の効果について、そして3.堆肥利用の問題点について、明らかにした。
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