2011 Fiscal Year Annual Research Report
カエル類を指標とした圃場整備事業の影響評価・予測手法に関する研究
Project/Area Number |
21780228
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
渡部 恵司 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所・資源循環工学研究領域, 研究員 (50527017)
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Keywords | 農業工学 / 環境調和型農林水産 / 生態系修復・整備 / 両生類 / 水田水域 / Rana japonica |
Research Abstract |
本研究の目的は,水田水域を主な生息場とするカエル類を対象として生息状況と自然的・人為的な環境因子(地形,農業農村整備事業の内容,工数等)との関係を明らかにすること,そして生息ポテンシャル予測や個体群存続性の評価から農業農村整備事業における生態系配慮シナリオに対するカエル個体群への影響を算定することである。 本年度は,ほ場整備に伴って敷設されることが多いコンクリート水路がカエル類の個体群存続性に与える影響を評価するための数理モデル(個体群動態モデル)を構築した。評価対象種はニホンアカガエルとした。個体群存続率を計算するための個体群動態モデルは,齢階級別のメス個体数の動態を表す「基本モデル」,基本モデルに環境収容力のパラメータを加えた「密度依存モデル」,さらに水路の横断成功率および樹林移動率のパラメータを加えた「横断モデル」の3段階で構築した。シミュレーションに必要なパラメータの値は,既往の齢階級別個体数の観測データから推定した。基本モデルでは,シミュレーション結果と前述の観測データを比較して,モデルの妥当性を確認した。密度依存モデルでは,環境収容力を適度な値に設定することでシミュレーション結果の再現性を向上できることを確認した。横断モデルでは,ほ場整備に伴い水田と樹林の間にコンクリート水路が敷設された場合を想定し(ニホンアヵガエルなどの水田と樹林とを移動する種の移動障害となる),コンクリート水路による個体群存続率への負の影響と生態系配慮による個体群存続率への正の影響を推定した。シミコ」レーションによる40年後の個体群存続率は,初期個体数,水路の横断成功率および環境収容力の値の影響を大きく受けた。コンクリート水路の全区間にフタを設置してカエルの転落を防ぐ場合には個体群存続率は高いが,一部の区間にフタや脱出用のスロープを設置するだけでは個体群は存続しにくいと考えられた。
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Research Products
(4 results)