2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780229
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
黒木 信一郎 神戸大学, 大学院・農学研究科, 助教 (00420505)
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Keywords | ケモメトリックス / 主成分分析 / ガス交換 / 電気伝導度 / 呼吸 / CA環境 / pH / 溶存酸素 |
Research Abstract |
本年度は、低温障害進行の指標である電解質漏出割合、および電解質漏出速度を近赤外拡散反射スペクトルにより非破壊的に推定できるかどうかについて検討した。まず、多変量解析における参照値となる、電解質漏出の割合および速度を精度よく実測するために、等張液の濃度を調査した。キュウリ果実の果肉部においては、0.2mol L^<-1>マンニトール溶液を用いることにより、浸透圧衝撃による生体膜への損傷を回避した計測が可能であることを明らかにした。異なる温度での貯蔵実験の結果、貯蔵7日後には、2℃および7℃貯蔵区の電解質漏出割合が、15℃貯蔵区と比較して危険率5%で有意に大きくなり、貯蔵10日後では、貯蔵温度が低いほど電解質の漏出が顕著であることが示された。また、電解質漏出速度については、貯蔵7日後に2℃および7℃貯蔵区が、15℃貯蔵区と比較して危険率5%で有意に大きくなり、貯蔵10日後では、7℃貯蔵区が最も高い電解質漏出速度を示すことが明らかとなった。これら2種の低温障害の指標を目的変量としたPLS回帰モデルの構築は困難であったことから、より定量的な他の低温障害の指標について検討する必要があると考えられた。 一方、異なる酸素濃度条件下におけるホウレンソウ葉のホウレンソウ葉の近赤外拡散反射スペクトルを収穫直後から貯蔵4日後まで測定し、主成分分析を行った。その結果、第1主成分スコア値について、酸素濃度9.35%の貯蔵区と酸素濃度20.78%の貯蔵区との間に、貯蔵3日後から5%危険率で有意な差が認められた。また第1主成分のPCAローディングの観察から、628-718nmのバンドが、このスコア値の算出に大きく寄与していることが示された。
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