2009 Fiscal Year Annual Research Report
トマトの抗酸化成分増加を目指した複合的環境ストレス下での活性酸素制御技術の開発
Project/Area Number |
21780234
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Research Institution | Shokei Junior College |
Principal Investigator |
圖師 一文 Shokei Junior College, 短期大学部, 准教授 (50435377)
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Keywords | トマト / アスコルビン酸 / 塩ストレス / 抗酸化酵素 / 光強度 |
Research Abstract |
本年度は,トマトの抗酸化成分増加を達成するための複合的環境ストレス下での活性酸素制御技術の開発(ストレス付与法,栽培法)とそのメカニズムの解明を行うために,in vitro条件下で栽培したトマト果実の抗酸化成分(アスコルビン酸,グルタチオン)および抗酸化システムにおける塩ストレスと光条件の相互作用について検討した.果実は,暗黒,弱光および強光条件下においてin vitro培養し,培地に100 mM NaClを添加することで塩ストレスを与えた.実験の結果,強光条件では暗黒および弱光条件よりアスコルビン酸含量が上昇するが,強光条件に塩ストレスが加わると逆に減少することが明らかとなった.一方,グルタチオン含量は,光条件および塩ストレスによる影響がなかった.また,強光条件に塩ストレスが加わると活性酸素の消去システム(アスコルビン酸-グルタチオンサイクル)に関わる抗酸化酵素が活性化するにもかかわらず,活性酸素消去に利用されたアスコルビン酸を再生するシステムが十分に働かないことが明らかになった.一方,暗黒,弱光条件ではこれらの反応が生じないことが明らかになった.これらのことから,強光条件における塩ストレスによるアスコルビン酸含量の低下は,果実内で活性酸素の生成が高まり,この活性酸素消去のためにアスコルビン酸が利用されたためと考えられた.これらの結果から,本研究結果は,トマト果実のアスコルビン酸含量と活性酸消去システム(アスコルビン酸-グルタチオンサイクル)は塩ストレスと光条件との相互作用によって影響を受けることを示唆しており,実際の栽培現場においては光条件と塩ストレスを適切に組み合わせることがトマト果実のアスコルビン酸含量の向上には重要であることを示している.
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