2009 Fiscal Year Annual Research Report
航空機レーザスキャナによる広域の水稲生育推定手法の開発
Project/Area Number |
21780237
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
高橋 一義 Nagaoka University of Technology, 長岡技術科学大学・工学部, 助教 (00332651)
|
Keywords | 植被率 / 草冠部 / レーザ入射深さ / 航空機レーザスキャナ / 航空レーザ測量 |
Research Abstract |
本研究は、衛星・航空機観測による水稲生育の広域把握を目指し、衛星観測モデル改良に必要なデータセットの効率的な収集と蓄積および衛星観測を補間する広域観測手段の開発に資することを目的に、従来の光学リモートセンシング(受動型)にくらべ天候・雲障害を受けにくい能動型センサであるレーザスキャナを用いた広域かつ圃場単位での水稲生育情報の推定手法の開発に取り組む。 初年度は,水稲群落の植被率計測の精度向上をねらい,予備実験装置に近赤外デジタルカメラを導入した。そして,改良した実験装置を用いて栽植密度を変化させた水稲群落を対象に移植後約一ヶ月~二ヶ月の期間にわたり水稲群落直上からレーザスキャナ計測を5~7日間隔で実施した。また,レーザスキャナ計測結果と対応付ける従前の生育情報として,水稲群落の草丈,茎数,草冠局さ(草局),補被率を計測した。ただし,計測期間後半の7月中旬以降は天候が安定せず野外実験を断念した。地上レーザ計測データと従前の生育情報との対応関係を分析した結果,レーザ計測データは群落の高さ(草冠)および乾物推定指標(草丈×茎数)と高い相関が確認された。 航空レーザ計測時のレーザフットプリント径を想定したシミュレーションデータを地上実験データから生成し,航空レーザ計測による植被率推定モデルの適用範囲の検討を試みた。シミュレーション結果では,植被率60%超の状態では群落草冠部からのレーザ入射深さは10数cmと試算され,水稲が繁茂する時期では植被率計測が安定しないことが示唆された。一方,出穂期直前の植被率約70%の水稲群落を計測した航空レーザ計測データ(業者提供サンプルデータ)を解析した結果,群落草冠部からのレーザ入射深さは30~40cm程度であった。両者の差異は,計測に利用している波長帯域が影響している可能性があるものの,地上実験データから航空レーザシミュレーションデータを生成する方法を再度検討する必要性が確認できた。
|